gosan

私(筆者)は、れっきとした日本人である。東京都目黒区出身だ。祖父は埼玉県出身で、戦後、丁稚奉公をするために東京・日暮里の屋根瓦職人の店に流れ着いたという。曽祖父は群馬県で屋根瓦の問屋を営んでいたらしい。

そんな日本人の私だが、なぜか海外に行くと日本人だと見られないことが多いのである。具体的には、「タイ人?」と言われることが多いのだ。そして、なぜだか国籍を間違えられるとチョットだけ嬉しい。あれは一体なんなのか。

■いいこともあり、わるいこともある
世界どこでも、なぜかタイ人に間違えられる率が高い私は、よくタイ人にそのままタイ語で話しかけられる。少しだけタイ語が話せるので、そのまま会話し、頃合いを見て「日本人です」と明かすと、相手は驚き、顔がほころぶ。それが嬉しい。

タイ人に間違えられるからなのか、法外なボッタクリに遭うこともめったにない。東南アジアのどこかの国でタイ人に会うと、すぐに仲良くなれたりもする。このあたりはいいことなのだが、逆にわるいこともある。

■麻薬の運び屋だと間違えられた
遠い昔、タイの国境付近でバスに乗っていたときのことだ。なぜか警察にバスを止められ、私だけが降ろされ荷物検査を受けたことがあった。タイ語で何やら尋問してくるが、何を言っているのか分からない。「日本人です!」と言っても信じてもらえない。

赤いパスポートを出して、あらためて「日本人です!」と訴えると、やっと信じてもらえて開放された。話を聞くと、「タイ人かカンボジア人の麻薬の運び屋」だと思っていたそうな。単に私の顔が犯罪者面(つら)をしていただけなのかも知れないが。

■「韓国人?」と言われると「NO!」と即答
「タイ人?」と間違えられる率は、ほぼ9割。のこり1割で、日本人かフィリピン人か中国人か韓国人に間違えられる。「フィリピン人?」とくると、「そうきたか」と思い、「中国人?」と聞かれると「そうも見えるかもね」と思ったりする。

ところが、たまに出てくる「韓国人?」の問いには、なぜだかショックを受けるのだ。別に韓国が嫌いなわけではない。だが、なぜか無性に悲しいのだ。そして、「NO! JAPAN!」と即答してしまう私がいる。あれは一体なんなんだろうか。

(写真、文=GO
GOさんのシリーズコラム『あれは一体なんなのか。