カレーといえばインドを連想しがちだが、実はインド周辺国のカレーたちも、それぞれに特徴があって実に美味しい。また、ひとくちに「インド」といっても、北部と南部では味や特徴が違ったりもする。

私(記者)は過去に、インドはもちろん、バングラデシュにスリランカ、ネパールのカレー(ダルバート)などを食べてきたが、なかでも「これは!」と思った国が、意外なことにバングラデシュなのだ。

・実はバングラカレーは美味い
バングラデシュにも様々なカレーがあり、サラサラ系もあればドロリン系、羊の脳みそなど一風変わった具を入れているカレーも存在する。各レストランによって味もさまざまだが……どこで食べても美味かった。

まったく期待もしていなかったし、想像もしていなかったのだが、不味いカレーに出会ったことは、1カ月ほどのバングラ滞在中一度もなかったのである。ちなみに、カレー以外の食事で「うっ……」と思ったことは、何度かあった。

・美味いお店はバングラ男性が集まる男らしいお店
それはさておき、バングラデシュで特に美味いと思ったお店は、やはり地元でも人気のあるようなお店である。ひっきりなしにお客が来て、まずは次々と手洗い場で手を洗い、黙々と素手でカレーを食べる「ラーメン二郎」のようなお店である。

決して店内がキレイでなくとも、何も飾りがなくとも、バングラデシュの男たちが集まるお店は、たいてい美味い。そして、そんな中に日本人がポツンと紛れ込むと、5分後には強烈な視線を感じることになる。

・バングラ男性4~50人に見守られながらカレーを食う
私は2006年に訪問したが、当時はバングラデシュに旅行に行く人はごく少数。彼らにとっての “外国人” は、大変珍しい存在であったようだ。

とあるレストランで食事をした時なんて、ハッと気づいたらお店の外に4~50人の見物人がいたほどである。これは本当である。バングラデシュに旅行に行ったことのある人ならば、「あるある」と思うはずだ。

彼らはみな、私の一挙一動を真剣な眼差しで見守っていた。こんな時に堂々とした「手食い」を披露すると、出店時には “ガイジンさん” を出待ちしている地元民から、「ボンドゥ!(友よ!)」と声をかけられまくることになる。それも笑顔で。10歩あるいたら1ボンドゥのレベルで、だ。是非ともチャレンジしていただきたい。

・インドカレー屋さんにならなくてもいいレベルなのに
みなさんも薄々感じていると思うのだが、いま日本には、星の数ほどのインドカレー屋さんが軒を構えてる。東京であれば、必ず1つの街に1軒以上のインドカレー屋さんがあるくらいに。

しかしながら、そのなかには、「インドカレー屋さんなのに作っている・営業しているのはバングラデシュ人」というパターンが少なくなかったりする。「バングラカレー」とうたっても、「インドカレー」の知名度、集客力には勝てないからであろうか。

決してそれが悪いわけではないのだが、バングラデシュのカレーの美味さを知る私としては、少し残念に思うのである。「インド」という名前を借りず、威風堂々と胸を張り、「これが本場のバングラカレーだ!」と、一発カマしてほしいのである。

本場のバングラデシュのカレーには、その実力は備わっている。いつの日か、日本でも、ここ東京でも、「インドカレーとバングラカレーがあるけど、どっちにしようか迷っちゃう!」と悩んでしまう日常が来ることを、私は切に願うのである。

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