子どもの頃、やたら絵の上手い友人がたいていクラスに一人や二人はいる。一方で、絵心ゼロとしか言いようがない、目も当てられないような絵を描く大人だっている。一般的に、絵の上手い・下手は、年齢や経験などではなく生まれ持った才能やセンスだと考えられることが多い。

しかし、最新の研究でその認識が覆された。絵が得意な人と苦手な人には、才能というよりも「視覚能力」に明らかな違いがあるというのだ。しかも、その能力は訓練によって習得可能だという。

これを発表したのは、ロンドン大学のレベッカ・チェンバレン教授率いる研究チームだ。実験では被験者たちにデッサンをしてもらい、その対象物を彼らがどのように見ているか、目で捉えた物をどれくらい記憶しているかなど、絵を描くうえで重要とされる様々な要素が調べられた。

その結果、上手にデッサンできた人とそうでない人には、対象物を目で捉える能力に大きな差があることが判明した。教授曰く、「絵が下手な人は、物事をありのままに見ていないため、まずは描くことよりも視覚能力を鍛えることのほうが重要です」とのこと。

これはどういうことなのか。教授によると、人間の持つ「先入観」に問題があるという。人には多かれ少なかれ先入観が備わっているものだが、デッサンが下手な人はその影響を受けてありのままが見えなくなるため、描いた作品も本来のものとはかけ離れた結果になってしまうというのだ。

一方で、絵が上手な人は先入観にとらわれずに目で見たものを認識する能力が高かったそうだ。また、対象物から捉えた情報を瞬時に記憶する能力も高かったとのこと。これは例えば、二本の交わる線によってできる角度を正確に認識し、描く前に記憶できているかどうかといったものだという。

さらに彼らは、たとえ目で見えてはいても対象物を取り囲む不要な情報にはとらわれていなかった。そして、必要な情報には細部にまで集中する能力も持っていたそうだ。実験で上手に描くことができた人には、これらの様々な能力が備わっていたとのこと。

教授は、「このような視覚能力は意識して訓練を重ねることで習得できるものです。生まれながらの才能を持った人も確かにいるかもしれませんが、視覚能力を鍛えれば誰にだって絵が得意になる可能性はあるのです」と語っている。

絵が苦手だとお悩みの方は、もしかしたら才能や描き方よりも物の見方に問題があったのかもしれない。「ありのままに見る」というのは、簡単そうで意外に難しいことのようだ。

参照元:Mail Online(英文)

illustration:Rocketnews24.

▼訓練次第でうまくなる……だと……!?