米国マクドナルドが使用を中止したことで広く認知されることとなった「ピンクスライム肉」。家畜のえさ用の安い肉をアンモニア水で殺菌してミンチにするというこの肉のおぞましい写真に衝撃を受けた方は多いだろう。ニュースサイトPouchでも大きな話題になった。

特有の刺激臭で知られるアンモニアが肉の殺菌に使われるという点も驚きだが、実はアンモニア化合物は他の身近な食品にも使われていることが明らかになった。今回新たに判明したのはアメリカの大手食品会社クラフトフーズ社のチーズ製品だ。

米国クラフトフーズ社の広報担当アンジェラ・ウィギンス氏は「牛乳をチーズにする過程で、微量のアンモニア水を使用しています」と発表した。培養物の酸度を低下させ、増殖を促進するために使用しているのだという。

アンモニアは尿にも含まれており強い刺激臭をもつ。そんなアンモニアが食品に使用されているとは不快に思う人もいるかもしれない。だが、実際にアンモニアを食品に使用することは珍しくないそうだ。

テキサスA&M大学食品安全センターのゲイリー・エイカフ氏は「アメリカの食品業界では全ての種類の食品にアンモニアを使っています」と語る。なんと、約40年前から米国政府によってその安全性が認められていたというのである。

今回のアメリカのピンクスライム肉騒動には多くの消費者が衝撃を受けた。何百もの学区の学食でピンクスライム肉の使用を中止すべきだと訴え、製造元の一つである食品加工大手ビーフ・プロダクツは三つの工場の操業を一時停止する事態となった。しかし、長年ピンクスライム肉を使用してきた精肉業界にとっては、こうした事態は「消費者の過剰反応」と見えているのかもしれない。専門家も今回のピンクスライム肉騒動に関して、安全性よりもその見た目のおぞましさがソーシャルメディアやテレビで急速に広まった結果、消費者の怒りに火がついたのだろうと見ているそうだ。

「食品に含まれる材料に対する消費者の関心が大きく変化しています。これはその一例にすぎません」とジョージア大学食品安全センターのマイケル・ドイル氏は話す。

身近な食品に使用されている食品添加物は一般の消費者が知らないものも多い。それは日本も同様である。「こんなもの食べたくない!」と主張することももちろん大事だ。だが、同時に普段食べている食品に実際どんな物質が使用されているのか、またそれは人体にどのような影響があるのかを冷静に理解することも消費者に求められているのではないだろうか。

(文=佐藤 ゆき
参照元:Mail Online(英文)