「いつまでも笑いの絶えない家庭を築きたい」、結婚式ではよく聞く言葉だ。幸せな家庭を表現するのに用いられるが、では「笑いだけある家庭」は幸せなのか? 答えはノーだ。それを地でいく家族がオランダにいる。

主人のヒューグ・ボッセさんは、2年前に受けた股関節の手術で、麻酔の影響により笑いが止まらなくなってしまった。彼が笑い続けるために、妻はいつも不機嫌。まるでバカにされているようで不愉快に感じている。親戚も彼といると機嫌が悪くなり、誰も寄り付かなくなってしまった。笑いが絶えないのは本当に幸せなことだろうか?

彼が笑い続ける原因は不明だ。手術を受けたときの麻酔が、作用していると考えられているが、具体的な原因究明は進められていない。というのも、本人が何も問題にしていないからだ。「何かをきっかけに、人格や感情が変わったとしても問題ではない」と彼は考えている。

しかし、一緒にいる人間は堪ったものではない。気が落ち込んでいるときでも、ゆっくり時間を過ごしたいというときでも、彼はひたすら笑い続けている。何か話しかけたとしても、訳もわからないまま笑っているのだ。相談はできないし、愚痴をこぼすこともできない。

結果的に、彼の兄弟と娘は家に近づこうともしなくなった。たしかに、理由もなく笑い続けている人と一緒にいたら、周りの者は気が滅入ってしまうかもしれないだろう。

そんな彼でも、唯一涙をこぼすきっかけがある。それはオランダの国歌を聞くときだ。もっとも美しい歌と賞賛する国歌を聞くとき、ボッセさんは涙を流す。妻はこの効果(?)を利用し、大事な話があるときには、BGMに国歌を流すという。それにしてもボッセさんの涙は、この世で一番と言ってよいくらい悲しい涙だ。反射的に泣いている彼の姿が悲しい。

とにかく気の毒でならない、ただ笑っているというだけなのに、煙たがられてしまうボッセさん。絶えず笑っている彼の横で、妻がつまらなそうにしている姿が、とても印象的だ。これが笑い絶えない家庭の現実……。

参照元:ODDITY CENTRAL(英語)