日本のサッカーチームはとても強い。日本よりも強いチームも当然いるのだが、世界全体から見たレベルは相当高い方だ。2011年12月21日現在のFIFA世界ランキングは19位。世界ランク再開の206位と隔てた距離はあまりにも遠く、下位のチームの実力と比してトップクラスと言ってよいだろう。

ポリネシア地方にある米領サモアをご存知だろうか。ここはアメリカの自治領で、人口は10万人に満たない。プロサッカーリーグはなく、どちらかと言えばアメリカの影響で、アメリカンフットボールの方が人気があるそうだ。

この国のナショナルチームが、1994年の初公式戦に参加して以来、17年を経てようやく初勝利をあげた「世界でもっともひどいチーム」と揶揄されていたチームの初勝利の瞬間は、ワールドカップ優勝にも劣らない感動にあふれている。

同国にはプロリーグが存在しない。人口が少なく、またサッカーはマイナーなスポーツであるために、リーグが組めないのだ。したがって、ナショナルチームといえども、選手は皆ほかに仕事を持っている。

日本のように恵まれた環境であれば、練習のための会場や機材、またリーグ戦で腕を磨くということもできるのだが、ここではそれは叶わないのだ。

彼らが世界一ひどいといわれているのには訳がある。不名誉なことなのだが、2001年オーストラリアでの試合で、歴史的な大敗を喫した。31対ゼロという、驚異的な点差で負けてしまったのだ。それ以来、最弱レベルのサッカーチームの烙印を押されてしまったのである。

その彼らが2011年11月に行われたワールドカップオセアニア1次予選で、彼らよりも上位のトンガと対戦し、快挙を成し遂げた。公式戦では通算12点しか獲得していない彼らが、2得点し勝利したのである。

たったの1勝、たったの1勝と思われるかもしれない。しかし彼らにとっては、ワールドカップ優勝にも劣らない価値があるのだ。実はこの試合の後に行われたクック諸島との対戦では、1対1の引き分けとなった。つまりこの2試合は負けなかったのである!

トーマス・ロンゲンコーチは、チームは「最高のアマチュアチーム」と自負している。選手たちは他に仕事をしているために、サッカーに専念することができない。練習のための時間を割くこともままならないのである。17年間もの間負け続けてきたのだが、彼らには常に希望があった。ただ勝ちたいという一心だけでプレイをしてきて、ようやくその悲願が叶ったのだ。

彼らから見れば、日本のチームは途方もなく強い。実力は雲泥の差といっても良いくらいだろう。しかしサッカーに対する希望や情熱は、米領サモアの選手の方が高いかもしれない。なぜならたった1度の勝利を、ワールドカップ優勝のような気持ちで味わうことができるのだから。

参照元:Asylum(英語)

▼ 31-0でオーストラリアに負けたときの試合

▼ 公式戦で初勝利をあげたときの瞬間の動画