南西太平洋、ポリネシアに位置する島国ニュージーランド。総人口430万人のこの国は、1907年にイギリスより独立。現在もイギリス連邦加盟国である。日本との貿易も盛んに行われており、肉や乳製品などで知られている。またワーキングホリデーで訪れたという経験を持つ人もいるかもしれない。

そのニュージーランドの日本での略称が、危うく「乳国」になるはずだったというから驚きだ。もしもそうなっていたのなら、テレビニュースや新聞などで「首相、今年3度目の乳訪問」、「牛肉取引、乳と摩擦」という訳のわからない見出しがつけられたかもしれないのだ。

これはニュージーランドの情報をつたえる『日刊ニュージーランドライフ』によると、これは1981年に当時の在日大使R.M.ミラー氏が、アメリカの「米」やイギリスの「英」にならって、同国の略称を募集することを思い立った。

そうしたところ、次の2つの候補があがったそうだ。ひとつが「乳慈蘭」、そしてひとつが「柔自島」。結局、略称は「乳国」に決定してしまったという。しかし定着することはなく、そのまま忘れ去られる羽目になったのである。現在は中国の表記「新西蘭」から取って、「新」とされているようだ。

歴史の闇に葬られてしまった乳国、その名が一般に浸透することはなかったのだが、乳国に描いた夢はいまだ潰えることはないだろう。そして、いずれの日にかGoogleマップにデカデカと「乳国」と刻まれる日が来るのかもしれない。その日まで、しばしのお別れだ。さようなら、乳国、決して君の名を忘れはしない……。乳国ー! 乳国ーーー!!

文=褌シメタロウ
参照元:日刊ニュージーランドライフ