日夜目目覚ましい進歩を遂げる科学の世界で、またひとつ夢のような研究が実を結びそうだ。その研究とは、透明マントを作るというものである。実は、同様の技術研究を、慶応義塾大学大学院­のとある研究室が進めているのだが、これと異なる方法で透明マントの実現に向けて研究が続いているのだ。

その自然現象とは「蜃気楼」である。カーボン・ナノチューブのシートを瞬時に高温にすることにより簡易的に蜃気楼を発生させ、シートの向こうが透けたように見えてしまうのだ。

この研究は、テキサス大学ダラス校の研究チームが行っているものだ。チームは、特殊な装置で蜃気楼を瞬時に発生させることにより、擬似的に透明になるシートの開発を進めている。

蜃気楼とは、密度の異なる大気中で光が屈折する現象を指す。広い平地や長距離の直線道路などで見られ、激しい温度差によってもたらされるものだ。チームはカーボン・ナノチューブのシートを利用し光を屈折させ、シートの向こう側が透けているように見える装置を開発した。このシートは熱伝導性が非常に高いうえに、周囲に熱を伝える素材である。その特性をいかして応用したのである。

厳密にいえばこの技術は、透明になるわけではない。しかし、装置が稼動していれば、その向こう側に何があるのか、肉眼で判別することはできないだろう。現在のところ、実用化にはまだほど遠い状態ではあるが、今後さらに研究が進み、機器の小型化・軽量化が進めば、実際に利用することが可能になるかもしれない。

ドラえもんに登場した透明マントが実現する日は、意外にも近いのではないだろうか。

参照元:Youtube InstituteofPhysics IOP(英語)

▼ 水中で装置を稼動させたときの様子。瞬時に向こう側の文字が見えなくなる