2011年7月8日、スペースシャトル「アトランティス」の最後の打ち上げが行われた。このシャトルを最後に、スペースシャトル計画は30年の長きにわたった歴史の幕を閉じたのである。無事に予定軌道に乗り、国際宇宙ステーションとドッキング。食料や実験資材などを届けた訳なのだが、この歴史的終焉は、シャトルだけの最後ではなかった。

打ち上げから2日後に、画像共有サイト「Flicker」に画像を投稿したとある親子にとっても、ひとつの物事の終わりを意味していたのである。彼らが投稿したのは、1981年4月に行われたスペースシャトルの初めての打ち上げのときに撮影されたものと、そして先日の最後の打ち上げの際に撮影されたものを合わせた画像だ。

同じ場所で同じシチュエーションを再現したこの画像は、海外のインターネットユーザーの間でも話題となっている。

クリス・グレイさんと彼の父親、ケネスさんは、30年前の4月12日、スペースシャトル「コロンビア」の打ち上げを共に見た。若き日のケネスさんは双眼鏡を覗き込み、幼かったクリスさんは8ミリビデオを手にしていた。

大の天文学ファンである2人は、シャトル計画最後の打ち上げのニュースを知ると、最後のフライトを見に行こうと計画したのである。ところが、2人にとって打ち上げ場所のフロリダ州ケネディ宇宙センターに行くことは、決して楽な道のりではなかった。ニューヨークに住むクリスさんと、ニュージャージーに住んでいるケネスさん。宇宙センターにたどり着くためには、約1500キロの距離を越えて行かなければならない。

無事にチケットを確保したものの、予定していた飛行機のフライトが5時間遅れ、8日の午前2時半の段階でフロリダのオークランド空港にたどり着いていなかった。さらに悪いことに、そこからレンタカーを借りる予定にしていたのだが、車はどこの会社も予約で一杯。このままでは宇宙センターに到着することができない。

幸い小さなレンタル会社で、15人乗りのワゴンを借りることができたのだが、最終的にほとんど打ち上げには間に合わなかったそうだ。

しかしながら、彼らは30年前を再現する写真を撮影することができたのである。この画像には、こう名がつけられている。

「完成までに30年を費やした写真」

30年もの時間の流れを感じさせる、素敵な写真ではないだろうか。彼らにとってシャトル計画の終わりは、非常に悲しい出来事である。だが、クリスさんは「次の段階に進むと思うと、興奮する」と、NASAの今後の計画に期待を寄せているようだ。

シャトル計画がもたらしたものは、宇宙のことだけでなく、家族の愛情の一部をも育んだのではないだろうか。

参照元:UNIVERSE TODAY(英文)