都会の暮らしにストレスはつきものである。なんと更に、都会に住む人の脳はストレスの影響を受けやすいという興味深い研究結果が出た。同程度のストレスを感じた時、都市部の人の方が不安感情を司る脳領域が活性化しやすいという。科学者らは、このことと都市部の精神病患者の増加に密接な関係があるとしている。

ドイツのハイデルベルク大学教授メイヤー=リンデンベルク氏が今回行った実験は、健康な被験者50人に難しい暗算問題を解かせることでストレスを与え、脳の働きを観察したもの。その結果、都会生まれや都会育ちの被験者の小脳扁桃と帯状皮質が過活動を見せる傾向があった。

同教授は、「危険を感知する部位である小脳扁桃は、不安やうつと深い関わりを持つ。また帯状皮質は感情のコントロールや、困難な状況への対処時に重要な働きをする。これらの過活動は精神疾患などの一因になると考えられ、ストレスが都会人の疾病リスクを更に高めていると言える」と説明している。

教授は人間関係の希薄化による孤立、騒音や人口過密などを都会のストレスとして挙げている。「他人に近づかれたり、自分のテリトリーが侵害されたと感じるとこれらの回路にスイッチが入る。もしかすると単に人口密度の高さがこれらの脳領域を活動しやすくしているのかも知れない。研究が進めば、都市設計に応用し、脳科学上住みやすい都市を作ることも可能になるだろう」

研究者らは、人口が都市部に集中する傾向にある中、都市部に住む人はより裕福な生活、より良い衛生、栄養、医療を享受する一方で、慢性型疾病のリスクも高く、ストレスの多い社会環境や格差などと闘わねばならないと見ている。

もちろん都会生活への好みや適応力は人それぞれで、田舎暮らしがストレスになる人もいる。しかし都会の暮らしの方がストレスを感じる場面が多いのは確かではなかろうか。都会の暮らしに疲れて田舎へ、というのは脳科学的にも正しい選択なのかも知れない。

参照元:guardian.co.uk(英文)