岩崎夏海著の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(以下:もしドラ)は、ダイヤモンド社から2009年に発行され、100万部を超えるベストセラーとなった。漫画、テレビアニメ、映画とさまざまなメディアに進出し、ひとつの社会現象と化したといっても過言ではないだろう。映画はあまりふるわないようだが、とにかく世間に多大なる影響を与えている。

この小説の影響なのか不明だが、この作品の最初にくる言葉「もし」(もしも)という言葉を、1日の終わりに多くの人がつぶやいていることが判明した。Googleのリアルタイム検索で「もしも」と入力すると、毎日同じようなグラフが表示されるのだ。

これは記者(私)が偶然発見した事実。特に意図があった訳ではなく、「もしも」と入力してリアルタイム検索結果を調べたところ、同じようなグラフが延々と続いていることに気付いた。

少なからず、もしドラの影響はあるだろう。では、「もし」と検索すれば良かったのだが、「もし」と入力すると、別の語句も検索に引っかかってしまう。たとえば、「私もした」、「仕事もしている」など、仮定を意味する「もし」以外の言葉が入ってしまう。

そこで「もしも」と入力したところ、夜中の0時をピークに、波のようなグラフを形成したのである。では、人々は1日の終わりに、何を仮定して「もしも」とつぶやいているのだろうか。一部を引用して紹介しよう。

・ 1日の終わりにつぶやかれる、「もしも」で始まる投稿
「地震ニュースも大切ですが、もしもちょっと心が疲れてしまったらチャンネルを変えてみてください」
「もしも被害にあわれてつらい思いをされている方と連絡がとれた方、ビョンホンさんのメッセージをお伝えください」
「もしもの時のために、自分の身を守るための準備をしておかないと」
「もしも少しでも情報を知ってる方は連絡下さい」
「もしもドラッグをやったら これで決まり」
「地球をもしもカリフォルニヤ産のメロンだとすれば」
「もしも、矛盾の中心にちゃんと止まるものなら、人生の意味が分かるはずだ」
「もしもの時は先生に紹介してもらいましょう」
「もしも一つだけ願い事を叶えてもらえるとしたら?」
「もしも風に色を塗れる筆があったなら」
「もしも明日早起き出来たらちょっと出かけようかなと思ってる」
「もしも届いてなかったら……と思うと不安で夜も眠れません」

「もしも」と仮定してつぶやかれる内容はざまざまだ。3月の東日本大震災以降は、支援を求めている人に「もしも」と投げかけられたり、また、不安を感じている人に「もしも」と投げかけられている。また、自身の身の上を想像して「もしも」と発言している人もいるようだ。

しかしながら、一様に言えることは、「もしも」という言葉に優しい響きが感じられるということだ。この言葉を前にして、多くの人がより創造的に明日へのイメージを抱いているのではないだろうか。その傾向は実は、3月よりも前から続いているのだ。

人が1日の終わりに抱く、明日のイメージを覗いてみたいと思われる方は、是非「もしも」と検索してみて頂きたい。人の心の一部が垣間見えるだろう。

参照元:Google,Twitter