5月26日放送の『しあわせの素』のゲストは道端アンジェリカ。この番組は、オアシズ、黒沢かずこ(森三中)、椿鬼奴、マツコ・デラックスという不幸女子代表のレギュラー陣が、ゲストの女性の幸せ談義に耳を傾ける、というもの。MCは矢部浩之(ナインティナイン)。

ファッション誌のカリスマモデルとして名高い道端は、私生活も徹底的にゴージャス。誕生日にはクラブを貸し切って、盛大なパーティが行われる。100人以上の知り合いから祝福され、大量のプレゼントに囲まれて翌朝目を覚ますのが幸せなのだという。

そんな桁違いのエピソードを次々に披露されて、レギュラー陣は嫉妬したり憧れたりするのもままならず、ただあきれるばかり。そこで、ふと何かに気付いた様子のマツコがこんな言葉を漏らした。

「なんかわかってきた。マライア・キャリーだと思えばいいのよ」

今ひとつピンと来ないのは、日本のレベルで考えているから。海外のセレブの私生活を覗いているのだと考えれば、それなりに理解もできるというわけだ。一同が納得ムードになったところで、マツコはとどめの一言を放つ。

「マラよ、マラ」

マライア・キャリーをあえて「マラ」と略して別の意味をかもし出そうとするマツコに対して、司会の矢部がすかさず「マラで止めるのやめてもらえる?」とたしなめる。だが、マツコはなおも「おマラ」と返してみせた。

さすがは現代バラエティの頂点に君臨する女帝。カリスマモデルを相手にしても臆さず、「マラ」を連発して自らの縄張りである夜の世界へと無理矢理引きずり込んだ。どんな体勢からでも一瞬にして攻撃に転じられる、マツコの器用さが光る一幕だった。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎