今月はじめに、世界中である母娘のエピソードが取り沙汰され話題となった。母親は、娘(8歳)を美少女コンテストで優勝させるために、しわ取り美容効果があるとされる「ボトックス注射」をしていたという。虐待の可能性があるとして、カリフォルニア州の児童虐待監視当局が捜査を開始し、母親は一時は親権を剥奪された。

ところがこの騒ぎは狂言であり、親子はボトックスを使用したことがなく、すべてがでっち上げあることが判明したのだ。

このニュースは、英国の「The SUN」と米国の「ABC News」が報じたのが最初だった。わずか8歳の娘にボトックスを使用し、コンテスト優勝を画策するひどい母親がいると話題になり、英米国だけでなく世界中のメディアが報じたのである。

これが嘘であることが発覚したのは、なんと自身の証言によるものだった。当初報じられた彼女の名前は、ケリー・キャンベルだったのだが、本名はシーナ・アプトンという。彼女の話では、The SUNに所属するライターが2000ドル(約16万5000円)の報酬と引き換えに、芝居を打ってくれるように依頼したそうだ。

彼女は快諾し、ケリー・キャンベルという架空の人物になり切った。ボトックスが何であるのかも知らなかったのだが、指示された通りの写真を撮影し、The SUNに提出したのだという。その後にABC放送のニュース番組「Good Morning America」に出演。インタビューに応え、周知の事実となったのである。さらに児童虐待監視当局が、捜査を開始するまでの騒ぎに発展したのだ。

実のところ、ABC側は狂言であると知らなかったとして、彼女の写真のライセンス料1万ドル(約82万円)の支払いを拒んでいる。同社の広報担当者の話では、「我々は、英国のフリーランスのジャーナリストから、親子の写真を入手した。情報を入手したときに、これは間違いなく事実であると聞かされていた」として、断固支払いに応じない構えだ。

一方The SUNの担当者は「ケリー・キャンベルの話は事実だ。それを間違った形で伝えられてしまった。我々の報道により、この事実は世界中で共有されている」として、シーナ・アプトンさんを提訴する用意があるとしている。

ちなみにアプトンさんは、一時親権を剥奪されている。しかし、ボトックス注射を行った形跡がないことが確認されたため、現在娘は彼女の元に戻っているそうだ。

それにしても、世界中を巻き込んでとんでもない狂言が演じられたものだ。騙されたメディアも気の毒だが、誰より娘がかわいそうな気もするのだが……。しかしながら、ABCニュースのインタビューを見る限りでは、彼女も相当な演技派と思われる。

参照元:THE Hollywood REPORTER(英文)