世界のロボット生産量の約70パーセントを占め、自他ともに認めるロボット大国日本。福島原発事故発生後、何度か国産レスキューロボ投入の話が上っているが、国民の期待とは裏腹に未だ投入されたという情報はない。

事故後すぐに投入されなかった理由、それは現在日本には原発事故処理に特化したロボットが存在しないからだ。日本は世界最先端技術を有しながら、研究は進まなかった。その理由を、中国メディア「鳳凰網」が報じている。
 
日本は原発事故用レスキューロボットに完全に無関心だったわけではない。日本には過去に2回、研究開発に乗り出した経緯がある。一度目は1979年、アメリカ・スリーマイル島の原発事故直後。事故を受け、通産省(当時)により原発事故に特化したロボットの開発が進められた。しかし、8年の歳月を費やしたにも関わらず、結局研究は打ち止めになった。

二度目は1999年、茨城県東海村ウラン加工工場における臨界事故が起こったときである。科学技術庁と通産省は原発事故用レスキューロボを開発すべく30億円の予算を計上し、民間に委託した。2002年、三菱重工もレスキューロボ「MARS-1」を開発している。しかしその1年後、研究は打ち止めとなった。

それは政府機関が日本の原発は「絶対安全」であり、災害性の事故は起きる可能性がない、原発事故に特化したレスキューロボの 開発は不要と結論づけたからだ。予算が打ち切りになってしまい、研究自体も打ち切り、ロボットは廃棄・お蔵入りとなってしまった。

福島原発事故発生直後、当初日本政府と東京電力は外国支援を求めるつもりはなく、お蔵入りとなっていたロボットの使用を試みた。だが、そのロボットはただただ大 きく、原子炉内で臨時ケーブルを切ってしまう可能性があり、使い物にならず、結局欧米を主とした諸外国のロボットが投入された。ロボット開発に実用性を重視した欧米に対し、学術重視の日本、両者の差を顕著に表した出来事であったと言える。

政府からの補助金が出ないため、企業や研究機関も独自に開発することができなかった。原発事故に特化となると市場が狭まり投資した金の回収が非常に難しくなるからだ。企業が開発しなかったことを問題視する声もあるが、補助金が出ないばかりか、主たるユーザーである電力会社が「必要ない」と言っている中、研究開発を進める術はないだろう。

以上のことから世界屈指の技術を持ちながら、原発事故に特化したレスキューロボが開発されなかった理由の根幹は国の「原発安全神話」にあると言える。安全性に「絶対」など過去にも、現在にも、そして未来にもないことぐらいわかりそうなものだが、何故こうも過信してしまったのか。
 
現在、研究者らによって既存の非原発事故用のレスキューロボを原発事故仕様に改造が進められている。元々高い放射線の環境下での作業が想定されていなかったため、実際に有効かどうかはわからないそうだが、今後の展開に注目したい。

参照元:鳳凰網(中国語)