前回、『見捨てられ鳴き叫ぶ牛たちの悲しき末路』というニュースをお伝えした。福島第一原子力発電所から半径10キロ圏内にある農場(牛舎)に置き去りにされた牛たちが餓死したり、飢えに苦しんでいるという記事である。

今回は、牛たちの未公開映像とともに新たな情報をお伝えしたいと思う。記者がボランティア団体に同行取材をした際、この牛舎では数十頭の牛たちが飢えに苦しんでいた。すでに絶命している牛たちも多く、子牛の牛舎では1頭を残してすべての子牛が死んでいた。

牛たちに水を与えたところ、まるで人間がペットボトルのドリンクをガブ飲みするかのように水を飲んでいた。十数日ぶりに水を飲んだのだから、当然といえば当然だ。また、水やエサを得るために争奪戦のように牛たちが群がるという状態に……。この取材時にエサと水を与えることができたものの、継続的に与え続けなくてはいずれ死んでしまう。

この取材時以降、現地の人たちが放射性物質の危険を承知でエサと水を与え続け、さらに『見捨てられ鳴き叫ぶ牛たちの悲しき末路』の記事を読んだボランティア団体が救助対応をした。しかし、政府が福島第一原発から半径20キロ圏内を法的に効力がある立ち入り禁止区域に指定したため、入れなくなってしまった。

これでは、いくら助けたいという気持ちがあったとしても牛たちを助けることができない。牛だけでなく、半径20キロ圏内で放浪しているたちを保護することもできなくなってしまった。

放射性物質の量は地域によってかなり違うらしく、半径20キロ圏内でも比較的濃度の低い地域があるという。大雑把に半径20キロ圏内を立ち入り禁止区域にするのではなく、地域ごとに的確に判断をし、立ち入り禁止区域を決めるべきではないだろうか?

もちろん、政府も適当に決めているわけではないだろうし、人命を最優先にしている姿勢は理解できる。しかし、そのルールが人の財産や動物の命を失わせるものになるというのであれば、まったく意味のないものになる。誰のためのルールなのか? 何のためのルールなのか? という疑問が残るのも確かである。

記者に入ってきた情報によると、この農場主も被災して家や財産を失い、離れた地域で避難生活を送っているという。なによりも牛たちのことを心配し命を助けたいと考えているが、最悪の状況下で何もできないのが現状だ。この状況では決して農場主を責められないし、牛たちと同様に悲惨な状況にあるのも確かである。責められるべきは、別のところにある。

頼みの綱はボランティア団体による支援だが、この地域は2011年4月22日より半径20キロ圏内が法的に効力がある立ち入り禁止区域になってしまった。この状況では助けるにも助けられず、「助けられる命も助けられない状況」になりつつある。この事態を解決するには、東京電力が早期に放射能漏れを解決し、政府が正確な情報に基づいて的確な対応をする必要がある。

立ち入り禁止区域が人のためにあるルールなのであれば、それが人を苦しめるものになってはならない。その点を念頭において、人の命はもちろんのこと、人が大切にしている動物たちの命を守れるルールを作ってほしいものである。国が被災した人たちに代わり、動物たちの保護をするくらいの対応をしてもいいと思うのだが……。

執筆・写真: tachyon.

この状況下、農場主も牛たちも全面的に被災者・被害者です。
この記事と動画・画像により少しでも世の中が動き、事態がより良い方向に向かうことを切に願います。













この状況下、農場主も牛たちも全面的に被災者・被害者です。
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