いまだ予断を許さない状況の続く、福島第一原子力発電所。4月14日には、敷地内の1号機から500メートル離れた地点から微量のプルトニウムが検出されている。プルトニウム239の半減期は2万4000年との言われており、その影響が消えるまでには、途方もない時間がかかる。1986年に起きた、チェルノブイリ原子力発電事故の影響も現在まで続いている。しかし、そこには少数ではあるものの、強く生き抜く人々の暮らしがあった。

2009年に英国BBC放送は、チェルノブイリの立入禁止区域(半径30キロ)に潜入取材を試みた。そのときの様子がYoutubeに公開されているのである。事故から23年を経ているにも関わらず、この地域は安全とは言えない状況が続いていた。

30キロ圏外であっても、食品の放射線量測定は義務付けられており、規定値を越える食品の摂取は危険とされている。しかし20年を経て、放射能の恐怖は市民の間から次第に薄らいでおり、近接する町では自生するキノコを採って食べている。BBCの取材班が線量を測定したところ、規定値の8倍であった。だが、この町の町長は「心配ない」と自らも食しているのである。

また、立入禁止とされる区域には、老夫婦が住んでいる。原発から1キロのところに住居があり、当時建設されたばかりの住宅街は荒廃しているのにも関わらず、夫婦はすでに20年以上も生活を続けているのだ。しかも家庭菜園で育てた野菜を食べ、また、ご主人は野放しになっているイノシシを獲っているのである。

取材班ディレクターは、イギリスで「区域内の物を食べてはいけない」との命令を受けており、夫人の出す食事を拒んだ。しかしながら、現地スタッフが何も気にせずにボルシチを食べている様子に根負けして、夫人の手料理を口にするのである。

世界最悪の原発事故から20年、その傷跡はいまだに癒えたとは到底言えない。だがそこには、その土地を愛し、その土地とともに暮らす人々の生活がある。ディレクターが夫人に「(事故について)怒りを感じるか」と尋ねると、夫人は「泣きたくなるような気持ちです。そのことを忘れたことはできません」と語った。

参照元:Youtube/LunaticEclipseNuclea