脳卒中患者のリハビリにバーチャルリアリティなどのテレビゲームを使用すると、患者の運動機能が著しく改善する。聖ミカエル病院の脳卒中転帰研究ユニットの責任者であるグスタボ・サポスニク医師が今月、学術誌『Stroke: Journal of the American Heart Association』にて発表した。

サポスニク氏率いる研究チームは今回、テレビゲームが上腕の筋力および可動性に与える影響に関する12の研究を調査した。調査の結果、WiiやPlayStationのゲームで遊んだ患者は標準的治療をおこなった患者と比べ、最大5倍の確率で運動能力の改善が見られたという。

脳卒中の生存患者の55%から75%は腕に運動障害が残る。しかし、理学療法や作業療法といった往来の治療法では機能はわずかにしか改善しない。テレビゲームは、neuroplasticity(神経の可塑性:脳に損傷があった場合に、神経細胞を新しく繋げることで脳を「リフォーム」する能力)という過程を促進し、脳が癒える手助けをする。

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり、血管が破れてしまった結果、脳全体に血液がきちんと運ばれなくなり、脳の機能に障害が起こる病気である。生活習慣病のひとつでもある脳卒中は、日本では死亡原因の第3位となっており、年間13万人が命を落としている。軽度の場合でも言語障害、視覚障害、感覚障害や麻痺などの後遺症をもたらす。

「脳卒中患者の運動機能改善には、バーチャルリアリティゲームは実用的で将来性がある」とサポスニク氏は話す。

もともとは“娯楽”であったはずのゲームが、今ではこうして医療の世界でも役立つようになっている。この先ゲームは娯楽の境界線をさらに超え、ネクストジェネレーション医療として社会に貢献するようになっていくのだろうか?
(文=Kanako Otomo)

参照元:sciencedaily.com(英文)