見本と異なる「スカスカおせち」で世間の非難にさらされたインターネットクーポン共同購入サイト「グルーポン」関連のニュースが、再びメディアの注目を集めている。「チベットを馬鹿にしている!」などの苦情が、米グルーポン本社が作成したテレビCMに殺到しているのだ。苦情が殺到したのは、ナショナル・フットボールリーグ王座決定戦「スーパーボウル」で放送したグルーポンのCM。その内容はこうだ。

CMは冒頭で「チベットの人々は非常に困難な状態にあります。チベット人の文化が侵されようとしているのです」と、チベット人のおかれた環境を解説。ドキュメンタリータッチで非常に興味がそそられる内容だ。しかし、そこから展開がガラリと変わる。

カメラがズームアウトするとそこはヒマラヤ料理店。そして次のようなコメントが語られたのだ。「でもね、チベット人は非常に美味しいフィッシュカレーを作っているんですヨ♪ グルーポンで200人が共同購入すれば、グルーポンならシカゴのヒマラヤ料理店で30ドルのチベット料理を15ドルで食べられちゃいます!」。そしてダメ押しに「お金を節約しよう」という文字が表示されたのだ。

このCMに対し、視聴者の多くが「不謹慎だ」や「ふざけている」と思ったらしく苦情が殺到。CM放送翌日にはグルーポン最高経営責任者(CEO)が謝罪するという前代未聞の大バッシングとなったのである。巨額(30秒で約2億5000万円)をかけた米グルーポン初のCMだったが、逆にマイナスイメージを与えるものになってしまったようだ。

グルーポンはチベットに対する寄付を受け付けるコーナーも設けていたようだが、CMでは寄付サイトの情報が欠落していたこともあり、誰もそのCMの意図を理解できる者はいなかった。多くの視聴者が深刻な問題を軽々しく扱ったとして、怒りのコメントをTwitter(ツイッター)上にぶちまけたわけだ。あるオンラインニュースサイトが実施したアンケート結果によると、そのCMを見た約半数の人々が「不快感を示した」という。

さらに、チベット問題を抱える中国からも辛辣な批判が相次ぎ、中国での事業拡大を進めるグルーポンには相当な痛手になったはずだ。また、CMに登場したフィッシュカレーもチベット人が食べない魚の料理であったり、レストランもネパール人とインド人により経営されていたりと、チベット文化を強引に連想させる展開となっていたことも後の調査で判明した。

しかし、米国史上もっとも多くの人が視聴した今年のスーパーボウルでCMを放送した効果は絶大だったらしく、否定的なコメントとは裏腹に、グルーポンのサイトに登録するユーザーがCM前に比べ着実に増加しているという。

さらに、チベット支援団体やグリーンピースなどへの寄付も目標達成額に迫る勢いを見せている。チベット支援団体の責任者も、CMの内容はどうであれチベット問題を多くの人に知ってもらえる機会が与えられたことに感謝しているという。

今回の騒動も、日本で発生した「スカスカおせち」と同様、ネガティブではあるが、グルーポンの名前を世に知らしめる効果は絶大であった。はたして、今回のCM、成功なのか? 失敗なのか? その答えを出すのにはもう少し時間が必要だ。

写真: ロケットニュース24.