Twitter、Facebook、 mixi。現在これらのソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNS)を利用する人は多く、今や私たちの生活に欠かせない重要なコミュニケーションツールのひとつだ。

しかし、そういったSNSが私たちの人間らしさを奪っているとすれば、あなたはどうするだろうか? そう警告するのはマサチューセッツ工科大学のシェリー・タークル教授。先日、SNSの危険性などを記した『Alone Together(一緒だけど、一人)』という彼女の本が出版され、現在注目を浴びている。彼女はその本の中で、SNSが私たちを現実世界から遠ざけ、現代の精神異常を生み出していると訴える。

シェリー教授によると、私たち人間はSNSといった技術が人のコミュニケーションをよりよいものにすると信じ利用してきたが、それは幻想にすぎないという。ネット世界は現実世界と似ても似つかないものであり、現在そのネット世界に私たちの日常が支配されつつある。その結果、現実世界での他人とのふれ合いが減り、私たちの人間らしさが失われているというのがシェリー教授の考えだ。

このことを象徴するひとつの事件をシェリー教授は挙げる。それは去年の末、シモーヌ・バックというイギリス人女性が自殺した事件である。彼女は自殺する直前「薬を飲みました。すぐに死にます。みんな、さよなら。」というメッセージをFacebookに投稿したのだが、彼女の1000人以上のFacebook友達は「こんなのウソだ!」、「誰か助けに行ったの?何もしないなんて、君たちおかしいよ!」といった議論をするばかりで、誰一人彼女の安否を確かめには行かなかった。その結果、翌日彼女は遺体で発見され、彼女の母親は「なぜ誰も助けようとしてくれなかったの?」と嘆き悲しんだ。

こういったSNSの現状を見て、シェリー教授は「私たちは生活に活気を与える技術、コミュニケーションの可能性を広げる技術を発明してきました。しかし、私たちはそれを悪い方向に使ってきてしまったのです」と彼女の本の中で訴えた。

SNSが生活の一部になっている私たちにとって、シェリー教授の忠告はなんとも耳の痛い話である。確かにSNSには、普段会えないような遠くにいる人と交流できたり、共通の趣味を持つ人を簡単に見つけられたりと利点も多くある。しかしシェリー教授が警告しているように、そこに含まれるマイナスの側面にも目を向けてこそ、血の通った人間らしいSNS交流ができるのではないだろうか。
(文=田代大一朗

写真:ロケットニュース24

■参考リンク

The Telegraph(英文)