あなたは今の友達や恋人、どうやって選んだか覚えているだろうか? 共通の趣味があったから? 一緒にいて楽しかったから? それとも運命を感じたから? 友達や恋人になる理由は人それぞれだと思われがちだが、実はあなたの遺伝子がその友達や恋人を選んだかもしれないのだ。

そう発表したのは、ジェームス・ファウラー教授をはじめとするサンディエゴ大学の研究者たち。彼らの研究によると、私たちはある2つの遺伝子のもと、友人や恋人を選んでいるというのだ。つまり、私たちが生まれた時から誰と友達になり、誰と恋人になるのかが決まっているかもしれないのだ。

その気になる作用を持つ2つの遺伝子はDRD2とCYP2A6と呼ばれるもので、それぞれ興味深いメカニズムのもと、私たちの交友関係に影響をもたらしている。まず1つめのDRD2は、アルコール依存症とも関係が深い遺伝子で、これを持っている人はいわゆる酒好きになりやすい。

では、どうやってこの遺伝子が交友関係に影響を与えているかというと、このDRD2を持った人は、同じようにDRD2を持った人と友達になりやすいのだ。DRD2を持つ人たちは居酒屋やバーなど同じ場所に集まりやすく、そこで知り合って友達になる可能性が高い。つまり、DRD2は「類は友を呼ぶ」を生物学的に証明した遺伝子なのだ。

次に2つめのCYP2A6は、好奇心旺盛でフレンドリーな人を作るとされる遺伝子。こちらは友人関係だけではなく、恋人関係にも大きな影響を与えるとされている。そのメカニズムはというと、このCYP2A6は自分と遺伝子学的に違う特徴を持つ、CYP2A6非保持者を友達や恋人に選ぶのだ。この働きは、人間の進化の過程を見ると分かりやすい。

人間は進化していく上で、自分とは違う遺伝子を持つ人とパートナーになろうとしてきた。そうすることで、いろいろな病原菌と戦うために必要な遺伝子を互いに補い合え、よりよい免疫機能を持った子どもが生まれるというわけなのだ。つまりCYP2A6は、自分にはないものを持つパートナーを探す遺伝子なのだ。

最後に、今回の研究を行ったジェームス・ファウラー教授は「私たちは自分たちの遺伝子だけではなく、他人の持つ遺伝子が私たちの行動にどう影響しているかも考えるべきです」と述べ、遺伝子に関する新しい視点を示した。

今回の発表はかなり衝撃的なもので、今後の交友関係に大きな変化をもたらすかもしれない。中には相手の遺伝子情報を見て友達や恋人を探す人や、「遺伝子占い」なるものを商売とする人も出てくるかもしれない。いずれにしても遺伝子だけで相手を判断しないよう、気をつけたいものだ。
(文=田代大一朗

photo:flickr kyz

■参考リンク

Health.com(英文)