去年の暮れ、カナダのバンクーバー島で目を疑いたくなるような光景が広がった。なんと川全体が緑一色に変わっていたのだ! その緑色に変わってしまった川はバンクーバー島南部に位置するゴールドストリーム川で、そのネオンのような明るさから目がチカチカする人もいたほどだ。

これを受けて、バンクーバー島の住民や科学者たちは「重度の環境汚染か?」、「川の魚や野生動物たちは大丈夫なの?」とこの異様な光景に一時騒然となった。

しかし、その大混乱は意外な形で終焉を迎えた。実はこれ、河川調査のために使われたフルオレセインという無毒性の蛍光色素が原因で、川の色が変わったのだった。このゴールドストリーム川が緑色に変わった頃、同じ州内にあるラングフォードという都市の噴水も緑一色となっており、大規模な河川調査が行われたようなのだ。

フルオレセインは河川の水の行方や水漏れを調査したり、法医学における血痕探索をしたりするのに使われる蛍光色素で、お風呂の入浴剤の着色料としても使われていることから、私たち日本人にとっても馴染み深いものなのだ。

バンクーバー島があるブリティッシュコロンビア州の環境省も「フルオレセインは水やアルコールに溶ける有機合成化合物であり、様々な用途のもと使用されています。なんら毒性はありません」と発表し、河川調査におけるフルオレセイン使用になんら害がないことを強調した。

しかしフルオレセインは確かに無毒性なのだが、人に対して吐き気、じんましんなどの症状を起こさせたり、時にはアナフィラキシーショックにより人を死に至らしめることもあるという。また、ゴールドストリーム川はシロザケの養殖場や、ワシなどの環境変化に弱い野生動物の生息地としても有名だったことから、住民たちもそうやすやすと看過することはできなかった。

ブリティッシュコロンビア州の環境省は依然、フルオレセインを使った今回の河川調査に問題性はなかったと主張しているが、中には「川を汚染していることになんら変わりないじゃないか!」や「人を死に至らしめることができるフルオレセインを魚が摂取して、本当に大丈夫なの?」といった環境省の主張に反発する意見も少なくない。

川の色を緑一色に変えるという人々の反発を引き起こしやすい形で調査を行ってしまった以上、今回の河川調査事件、川だけにそう簡単に水に流せなさそうだ。
(文=田代大一朗

screenshot:YouTube ShayneKaye1003

▼川が緑色に!

▼噴水も緑色に!

■参考リンク

YAHOO! NEWS CANADA(英文)