アメリカの国民的オーディション番組「アメリカン・アイドル シーズン8」。先週の決勝戦で、残念ながら、初の「ゲイ」もしくは「バイセクシャル」のアイドルは誕生しなかったものの、ファイナリストの二人の「友情」について、アメリカでは妙に盛り上がっている。

「Kradam」は優勝したクリス・アレンの「Kr」と、準優勝に終わったアダム・ランバートの「Adam」を組み合わせたもの。英語ではこういった表現がよく使われる。「Kradam」専用のサイトが立ち上がり、YouTubeには彼らの親密な映像や、それらを組み合わせたMAD動画が多数投稿されている。

きっかけは、準決勝で二人が自分の親指のツメを較べ合っていたこと。クリスのファンサイトによると、アダムがクリスの親指のツメに、いつも自分が塗っている黒のマニキュアを塗ってやり、自分の親指のツメの黒のマニキュアは逆に落とし、「君が僕の一部を持ち歩いてくれるなら、僕も同じようにしよう」と言ったとのこと。クリスはギター弾きなので、ツメを守るためにマニキュアは必要かもしれないが、ツメをトレードすることで「いっしょに決勝に出よう」という強い誓いを表したもの、と言われている。

クリスとアダムは、番組の間、候補者たちが合宿している豪邸でのルームメイトであり、音楽的志向もバックグラウンドもまったく違うにもかかわらず、友情を育んでいった。クリスチャンとユダヤ人、妻帯者とバイセクシュアル(?)、アーカーンソー州の田舎町の大学生とハリウッドの歌手の卵、内省的なギターの弾き語りと派手な劇場的パフォーマンス。その対象性はまるで白と黒のようにはっきりとしており、その二人が「違い」を乗り越えて友情を創り上げたことに、両方のファンからは賞賛が送られている。

オバマのような劇的な「チェンジ」は起こらなかったものの、「違ったもの同士の融和」というアメリカ的理想を実現したものとして、この全米最大のリアリティショーは評価されるべきかもしれない。「Kradam萌え」も、その一現象の一部である。

記者:黒田由美(from cocolognews)