何十年も体を洗わずに周囲からヒンシュクをかっている男がいると、スイスのニュースサイト「20minuten」が報道した。なぜ、彼は体を洗うのを辞めたのだろうか。
インド人のカウラさんは、すでに7人の娘に恵まれていたのだが、どうしても男の子が欲しかったというのだ。そこで男児を授かるように、自分に試練を課すことにした。それは、「男の子が生まれるまで自分の体を洗わない」というもの。しかしこの願掛け、臭いが漂ってくるだけに、周囲にも色々と影響を及ぼしかねない、しごく迷惑な決心である。
おかげで、彼が営んでいた食料品店は不衛生だとして客が寄り付かなくなり店をたたむことに。今はバラナシ空港の近くを開墾して生計を立てているという。さらに5年前に兄弟が亡くなった時も、聖なるガンジス川の中でお祈りをするのを痛切に拒否。おかげで家族との仲はギクシャクしたまま。
ここまでして男児を欲しがるのは、インドの社会構造に原因があるようだ。インドでは、花嫁の家族と彼女たちの収益が夫の家族のものになるために、とりわけ息子(男の子)が好まれている。カースト制度を強いられ、さらに女性差別が今もって深刻であることが生活の選択を狭めてしまっているのだ。極端な話、この状況が変わらない限り、彼のお風呂タイムもお預けということになる。
どんどん臭いがひどくなる中で、彼なりの「清潔」を維持しようとするいち面も垣間見える。毎晩の入浴や歯磨きの変わりに「炎の風呂」で済ませるのだという。シバ神を祭るときに焚かれる「かがり火」の横に一本足で立ちながら祈ることが、彼にとっての風呂代わりだそうだ。「こうすることで風呂に入ってるのと同じ効果があるんだ。炎にあたることで、体の細菌と感染を殺すのを助けてくれるのさ」とカラウさんは話しているという。
カウラさん自身は、お風呂に入らない理由を「始めたきっかけは覚えていないけど、国(インド政府)に立ち向かおうとする、すべての問題が終わったときに、この誓いを終わらせるつもりだ」と聖者のごとく取材に答えているそうだが、カラウさんを良く知る隣人によれば、「35年前に、一度も風呂に入らなければ男の子に恵まれるだろうと、預言者に言われたことがきっかけ」だとしている。
■参考リンク
スイスのニュースサイト「20minuten」
執筆:メル凛子
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