4月21日、文部科学省は学校などで許容される放射線量について、1時間の限度を3.8マイクロシーベルトと発表した。これは国際放射線防護委員会が、年間の積算放射線量20ミリシーベルトとしているものを根拠としている。つまり、子どもが将来的に被る影響を無視して、大人と同じ扱いをしていることになる。

この一点だけを見ても、十分に正しい判断と言えないことが容易に推測できるのだが、実際のところ、この判断に基づいた場合に、どのくらいの影響を受けることになるのだろうか?

この限度量を中部大学の武田教授の計算に基づいて、年間の被ばく線量を算出したいと思う。基準になる線量は、毎時3.8マイクロシーベルトである。

武田教授によれば、かねてから政府が発表している限度には、内部被ばくの計算が含まれていないという。したがって、今回発表のあった年間20ミリシーベルトも外部被ばくのみのもので、内部に関しては勘案されていないのだ。

教授によれば自然放射線では、内部被ばくは外部被ばくの2倍(公的発表値)。またチェルノブイリ原発事故のときは、ほぼ同じ数値であったとのことだ。総じて空間からの被ばく数値は内部+外部ということになる。

また、食事と水からも放射線を受け取ることになる。分かりやすいようにこれらをそれぞれ、外部線量と同じ3.8マイクロシーベルトとした場合に、1時間の線量は、

外部(3.8) + 内部(3.8) + 食事(3.8) + 水(3.8) = 15.2マイクロシーベルト

となる。これを1カ月で換算すると、

15.2 × 30日 ×24時間 = 10944マイクロシーベルト

つまり、1カ月で10ミリシーベルト。次いで、5・6月を過ぎると線量は今の5分の1に低減するという。その結果、この2カ月とその先9カ月の積算量は以下の通り。

5・6月 : 10ミリ × 2カ月 = 20
7~12年4月まで : 10 ÷ 2 × 10カ月 = 50
現在から1年間の被ばく線量 : 20 + 50 = 60ミリシーベルト

当初の20ミリ限度の3倍に達してしまうのである。なお、国際基準(IAEA)の年間被爆限度は1ミリシーベルトであり、20ミリでも十分に超過している。

武田教授は4月20日の投稿で、以下のように警告している。「大人は子供たちを被ばくさせたがっている…」と。文部科学省が示した限度量は果たして適正なのだろうか。

参照元:武田邦彦 (中部大学)