2011年4月1日、東京有楽町の交通会館で福島県と茨城県の農家・農業団体等が中心となり、『買い控えを吹き飛ばせ!福島・茨城の農家を応援しよう』キャンペーンを開始した。開催最初の週末となった2日は好天に恵まれ、会場の有楽町駅前交通会館マルシェにはたくさんの人で溢れた。

当初、出荷自粛制限のあった農作物以外の買い控えが、流通業界に広がったこともあって、開催について主催者側でも激しい議論が行われたという。「かえって生産者を傷つけることになりはしないか」との声もあり、消費者の反応が懸念された。

しかし、初日から客足は好調で、各店舗とも連日完売。なかには、「野菜を買いたいと思っていたのに、スーパーになくて困っていた」という人さえいた。

福島県白河市のJA東西しらかわの総合企画室長後藤さんは、「多くの人に安全であることを、知ってもらえただけでもありがたい」と安堵の表情を浮かべた。

このキャンペーンは、株式会社東京交通会館と銀座農園株式会社によるもの。震災・原発事故の影響で、野菜の買い控えが広がっている福島、茨城の農家と農業団体等が中心となって開催。直接消費者に正確な情報を伝えながら東北関東の農作物を見直すきっかけを提供したいという思いから、約1カ月の日程で行うこととなった。

初日から会場には大勢の客が詰めかけ、最初の週末の2~3日は予想を上回る勢いで商品が売れた。両日とも11時からの販売開始であったが、午後になると棚から物が消え、終了時間を迎える前にほぼ完売。

会場に用意されていた放射線測定器(ガイガーカウンター)で、放射線反応がないことを確認した人たちは、安心安全を自ら確かめることができ、喜んで野菜を購入して行ったのである。

出店について、後藤さんは「消費者の皆さんに伝わる情報は、とても限られていると思います。本当はもっと安全であることを知ってもらいたい。この2日間で、本当に多くの人に足を運んで頂き嬉しいです。より多くの人に来て見て頂きたいですね」と語った。ちなみに3日は、福島県白河郡出身のプロ野球解説者の中畑清さんが駆けつけ、販売に協力。出店者を激励し、野菜の安全を訴えた。

今回の開催について、主催者の間で「ある懸念」があったという。それは、もしも警戒感が強かった場合に生産者が傷付く可能性があったからだ。実際、農家の方も参加前には戸惑いがあったそうだ。しかし最終的に多くの方が主旨に賛同。「安全を訴えかけるために、一生懸命で野菜を届けて頂いている」と、銀座農園株式会社の飯村社長は言う。

「私ども主催者の間でも、激しい議論になりました。しかし、今、安全であることを伝えるために、やるべきだと思ったんです」と、開催への決意について振り返っている。

そして迎えた週末、予想以上の客足に恵まれ、消費者に温かく迎えられた。「来ていただいた方から、野菜を買いたいのにスーパーで買えなかったと声を頂きました」と、当初の不安を吹き飛ばす言葉を受け取った。

風評被害の源泉は一体どこから来ているのだろうか? このようなときにこそ、生産者と消費者の間にあるものを考えさせられてしまう。なお、JA東西しらかわは4日まで会場での販売を行う予定だ。近くを通りかかった人は、ぜひ立ち寄ってみてほしい。野菜について知りたいことは、直接販売されている農家の皆さんに聞いてみると良いだろう。

■買い控えを吹き飛ばせ! 福島・茨城の農家を応援しよう
日程: 4月1日~5月8日
時間: 12:00~18:00(月~金曜日)  11:00~17:00(土・日)
場所: 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館ビル1階ピロティ部分
主催: 株式会社東京交通会館 企画・運営:銀座農園株式会社

写真:ロケットニュース24