今回は、最近起きているノラ猫たちの生活の変化についてお伝えします。前回お伝えしていた「猫の名前募集」の詳細は、本文末に掲載しておりますので、そちらをご覧ください。

さて、一見平和なノラ猫たちの日常。好きなときに私の部屋に来て、好きなようにエサを食べ、眠りたいだけ眠る。まったく申し分のない暮らしぶりでしょう。しかしある日突然、その平穏が壊される出来事が起きたのです。それは、うちの界隈に住む成猫「デカトラ」の登場でした。

常時6匹の猫が、入れ替わりで私の部屋に足を運んでいるのですが、気が付けば4匹の猫が長らく滞在するようになりました。トラ柄と三毛2匹、それと頭が黒い白猫です。4匹は兄弟という訳ではないようなのですが、同じくらいの背格好で同級生と言ったところでしょうか。部屋の隅に重なり合って寝る姿を良く見かけます。ときにはじゃれ合ってケンカの真似事をすることもありますが、仲良しであることに違いはありません。この4匹に加え、牛柄の2匹が日に1度、それぞれ姿を現すのでした。

ところがある晩のことです。それまで見たこともないような大きな猫が窓際に姿を現したのです。寝入っていた4匹は匂いで勘付いたのか、不意に起き出し、威嚇するような低い声を出し始めたのです。「どうした?」と声をかけると、そこには灰色の塊のような顔だけが覗いていました。あまりの大きさに私が「おわ!」と声を上げてしまったほどです。灰色の塊にビー玉のような丸い目が光り、真っ直ぐに私を見つめているのでした。

毛色がトラ柄に見えたことから、その大猫は通称「デカトラ」と呼ばれるようになりました。デカトラはその場は引き下がったのですが、なんと私が就寝するのを待っていたかのように、真夜中に再びやってきたのです。デカトラは部屋に入ると、他の猫たちを追い回し、「ギャー!」という鳴き声を聞いて目を覚ましたときには、皆の姿は見えなくなっていました。

翌日、普段なら姿を現すだろう時間になっても、1匹も姿を見せません。そのうち来るだろうと思っていたのですが、気配さえ感じないのです。元がノラなら仕方がないかと思っていたところに、不安そうな顔をして現れたのは、頭の黒い通称「麻呂」でした。

明らかに昨日と雰囲気が違い、何度も部屋の外を警戒しながら、恐る恐る入って来たのです。そして、部屋の隅々の匂いを嗅ぎ、耳を立てたまま緊張を解くことがありません。30分くらいの間、部屋を物色するとようやくいつものポジションに腰を下ろしたのでした。

他の猫たちも姿を現すと思っていたのですが、その日はとうとう麻呂だけだったのです。前日まで4匹で寄り添い合って眠っていただけに、麻呂が1匹で丸くなる姿が寂しそうに見えてなりませんでした。おまけに怯えきっていて、些細の物音にビクッと反応するのです。どうやら昨晩のデカトラの存在が、彼らにとって恐怖の対象であるとわかりました。

その翌日も、そのまた翌日も、ほかの猫たちは姿を現さなかったので、私はもうこの部屋で4匹が重なり合って寝る姿を見られないのではないかと思いました。そして大事な友人を失ったような気がして、とても悲しい気持ちになったのです。

【ノラ猫たちの名前募集】
猫たちの名前を募集します。7匹の猫たちに、「これは」と思う名前をお寄せください。(※猫たちについては、第3話「うちに来る猫たちの紹介」をご参照ください)

・ 猫の名前(7匹 すべてでなくても結構です)
・ ご自分のお名前(本名・ハンドルネームともに)
・ ご連絡用メールアドレス(ご本人確認用です)
・ 募集期間 11月15日(月)~19日(金)

応募先についてはこちら。ご応募は1人様1回とさせて頂きます。あらかじめご了承ください。

頂いた名前を集計後、Ustreamの番組「佐藤の部屋」で投票を行います。投票日は11月22日(月)21時からです。猫たちに素敵な名前をよろしくお願いします。ご応募、お待ちしております!

(文・写真=佐藤英典)