25日(現地時間)のBBCニュースによれば、フランス議会で家庭内暴力に関する新たな法案が審議されているという。その法案とは、妻への接近を禁じられた夫は腕輪を着用しなければならないというもの。この腕輪には、警察へ通報する装置が組み込まれており、夫が妻に近付くだけで通報が完了する。妻の安全が確保されると期待が高まっている。しかし、腕輪着用には慎重論も挙がっている。

フランスでは、裁判所から妻や家族への接近禁止命令を受けた夫(元夫)が、命令に反して接触して来るケースが多発している。そのため、通報装置内蔵の腕輪を夫に着用させ、事件への発展を未然に防ぐ取り組みである。フランスの統計では、毎年約160人の女性が夫(元夫)や同居人だった男性に殺害されている。この統計には家庭内暴力を苦にして自殺した女性は含まれていない。自殺女性を含むと毎年の死亡者は莫大な数に及ぶとのことだ。フランスの家庭内暴力は年々深刻化している。今回の法案により、夫の暴力を抑制出来れば死亡被害を減らせるとして期待が高まっている。この法案は議会で全面的な支持を得ており、可決される見込みだ。

しかし、慎重な意見もある。身体的な暴力ではなく、暴言・悪口などの心理的な暴力に関しては、どう対処するのかとの意見だ。身体的暴力の場合は、行動を抑制するために、この腕輪を着用させることは容易だ。しかし、心理的な暴力の場合、腕輪着用の規準を決めるのが難しい。心理的に傷付く度合いは、人によって違い、また発せられる言葉や場面によっても異なる。心理的暴力の基準作りは不可能だという意見も挙がっている。仮にその基準を決めても、被害女性には何の助けにもならないという主張さえ挙がっている。腕輪が期待通りの効果を発揮するかどうかについては、なお議論の余地があるようだ。