電子書籍リーダーが1台あれば、いつでもどこでも本が読めるというのが電子書籍の魅力である。なにより紙がないので、かさばらない。データなので、かさばらない。家の本棚もスッキリだ。

雑誌や書籍が次々と電子化しているなか、政治の評論から小説まであらゆる分野に精通し、芥川賞も主催している雑誌『文藝春秋』がついに電子版を発売するそうだ。

発売月によって多少の差はあるものの雑誌版が800円~890円なのに対し電子版は1000円でリリースされる。電子版の方が高い。ということは中身も異なるのだろうか。気になったので問い合わせてみた。
 
報道によると『文藝春秋』の電子版は3月10日発売の4月号から対応するそうだ。電子書籍は紙に印刷する必要がなく、本物の書籍や雑誌より安いものも多い。だが『文藝春秋』の場合は電子版の方が110円~200円高いのである。1年間買い続けたら最大で2400円の差額だ。2400円あれば文庫本が5~6冊買えるではないか!
 
この件について問い合わせたところ、電子版も雑誌版も中身についてはほぼ同じとのことだ。価格差は電子版に別コンテンツがあるなどということではない。むしろ少なくなる可能性がある。

なぜならば、電子化することについては毎号著者に許可を取っており、許可が得られない場合は電子版に掲載されないこともあるからだ。現に昨年3月、国内版に先行して発売された海外版『文藝春秋』の読者によると、雑誌版で連載されている村上龍氏の小説がカットされていたとのこと。今後、国内版でも同じケースが起こる可能性もゼロではないだろう。ちなみに価格が高い理由としては、「経費によるもの」とのことであった。
 
読者にとって選択肢が増えたことはいいことなのかもしれない。かさばらない便利さを取るか、価格と内容を取るか。一概にどちらが良いとは言えない。どちらを取るかはそれぞれの読書スタイル次第である。

参照元: Zinio Digital MagazinesYomiuri online

※画像は海外版のものです