・【突撃】小岩井ことりにインタビューするフリしてイングヴェイしてみた(2ページ目)

イングヴェイ好きに悪い人はいない。これは公然の事実かと思うが、今回のASMRレーベル起ち上げについても、小岩井ことりさんの周りに人が集まった同人サークルのような雰囲気で、その人柄を感じずにはいられない。だが、ASMRとは具体的には普通の音声とどう違うのだろうか


小岩井ことり「ASMRは、略さずに言うとAutonomous Sensory Meridian Responseで、聴覚とか視覚への刺激で脳がゾクゾクするみたいな心地いい感覚のことです。人の頭の耳部分にマイクがついた形のバイノーラルマイクっていうので録音するんですが、今回は中でも最高級の『Neumann KU-100』を使ってます」

──そのバイノーラルマイクを使うとどう変わるんでしょうか?


小岩井ことり「音に凄く奥行が出ますね。音が頭の後ろを動いたり、目の前を通ったり……」


──確かに、リリースされた作品をヘッドホンで聞いてみたら、同じ右方向の音でも、少し離れたり耳元に近づいたりがハッキリ聞き分けられますね。耳に息を吹きかけられる音なんて、リアルすぎて風を感じました。


小岩井ことり「そうなんです! 聞いてみると体温を感じるような、聴覚が、実際にはない感覚を呼び起こすのもASMRの面白いところですね。本当の体験よりドキドキするような魅力があると思います」


──小岩井さんいわく、ヘッドホンの向こうに世界が広がるというASMR。目を閉じて「おしごとねいろ」シリーズ第一弾「家庭教師 奥池未鈴」を聞くと、まるで隣に小岩井さん演じる家庭教師がいるかのように聞こえる。

・シーンを再現してもらった

確かに、存在しない家庭教師をリアルに感じるが、これってどれくらいリアルに近いものなのだろうか? そこで、実際に音声と同じ距離感を再現してもらい比べてみることにした。

まずは、奥池未鈴が休憩中に炭酸をコップに入れて音を聞かせてくれるシーン。シュワシュワした炭酸の音が左、右と聞こえ、最終的に両耳から聞こえる。その裏でいたずらっぽく炭酸の弾ける音を声真似する奥池未鈴がカワイイが……


シュパシュパシュパ


小岩井ことり「しゅわしゅわ~ぱちぱち~」


シュパシュパシュパ


小岩井ことり「しゅわしゅわ~ぱちぱち~」


_人人人人人人人_
> 何この状況 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


続いて、隣で家庭教師・奥池未鈴が勉強を見てくれているシーン。自分がノートを書く音と、奥池未鈴の息づかいや小さな物音だけが聞こえるところだが……


サラサラサラ


小岩井ことり「ふん、ふん……へぇ……」


サラサラサラ……


小岩井ことり「ふぅん……字、上手だね?」


_人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> いや勉強できるかーーーーーい! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

──失礼、取り乱してしまったが、音的な動きや近さはほぼ変わらなかったということはハッキリお伝えしておきたい。また、リアルでは多少不自然に感じられる状況も、音声だと自然に受け入れられたのは演技力の賜物である気がした。

結果として、フィクション世界をVR並にリアルに体感できた点でも「おしごとねいろ」は面白い。聴覚ってこんなに認識に影響を与えているものなのか

・レーベルをプロデュースすることについて

そんな作品をリリースするkotoneiroは、小岩井ことりさんプロデュースのレーベルとのことだが、プロデュースとは具体的には何をするんだろうか。今回の音声を作るに当たり、キャストとしての出演以外に、具体的にはどういうことをされたんですか


小岩井ことり「キャスティングから、マイクを知り合いのメーカーにお借りしたり、台本の監修などです」


──台本まで?


小岩井ことり「セリフなどは脚本家さんが書いていて、私は手直しですね。これまでの経験から、『声優さんが演じやすいのはどういうものか?』ということを共有して、みんなで相談して作り上げていきました」


──では、そんな小岩井さんがハイライトだと思うシーンはどこですか?


小岩井ことり「今回、第一弾として私が演じる『家庭教師・奥池未鈴』が出るんですけど、同時に愛美さんが演じてくれる第二弾『美容師 和澄あかり』も発売されるんですね。愛美さんは凄くお洒落で素敵な女の子なんですよ。和澄あかりは、私の中で、その愛美さん自身のキャラとも重なる部分があって

そんな美容師の女の子がシャンプーしてくれるっていうのが凄い心地よかったです。その時の音声は心地よすぎて『これは寝ちゃうな』と思いました」

──以上、音質から台本まで、全体をコントロールしていることが分かるインタビューであった。いやあ、ホントエエ娘や。話しているうちにまた会いたくなったし。さて帰ろうかな……


アカン

ここで帰ったら、ただの変態になってしまう。でも、小岩井さんの前でイングヴェイ弾くの怖い! なぜなら、小岩井さんはガチのイングヴェイファンであり、メタルバンドもやっている言わば本職の人だからだ。

・慄くイングヴェイ

繰り返すが、イングヴェイ好きに悪い人はいない。が、普段からイングヴェイに慣れ親しんでいる人は、見る目が厳しくなるのは当然だ。にわかに湧き上がる恐怖。今回はガチ中のガチだ……! いつもと別種の緊張感が私を襲う。気づけば震える手。ピックを握る指から力が抜ける。

いやいや、このままピックを置くわけにはいかない。ガチの人だからこそ逃げてはいけないのだ。勝負をしないと勝ちはないのだから! 私がロケットニュース24のイングヴェイですにゃんぱすー!!!!!

先ほどまでの静謐を破るファンファーレが会議室に響き渡る。始まったらもう誰にも止められない。弾いている私でさえも。『Far Beyond The Sun(ファー・ビヨンド・ザ・サン)』とは燃え盛る炎のようなものなのである。と、その時、衝撃の光景が目に飛び込んできた。こ、小岩井さんが……


応援してくれている!!!

持参した手作り炎でイングヴェイの演出をしてくれているではないか! こんなに協力的な人初めてや!! ならば共に行こう太陽をはるかに超えてー!!!!!

いつもよりも高く飛べた気がした。ひょっとしたら今回こそイケるのではないか? っていうか、小岩井さんが無理だったらもう誰も無理だろ。そこで演奏直後に聞いてみた。


──私を……バンドに入れてくれませんか


小岩井ことり喜んで!」


……。


えええええええええ!? 反応早すぎて一瞬意味が分からなかったけど普通にOKしてくれたァァァアアアア!!

私が一番驚いてしまった。現状、小岩井さんのOKをもらっただけだが、それでも嬉しい。と同時に怖くもある。もしDAWに本当に入ることになれば、メンバーも客もガチ中のガチ。言わば、ステゴロの殴り合いみたいなものだ。考えただけで足が震える。そこでまずは、2020年11月29日に恵比寿リキッドルームで開催されるDAWのワンマンライブを観に行こうと思う

今後どうなるかは分からないが、ひとまず今回は小岩井さんが喜んでくれただけで良しとしたい。それにしても、今回のインタビューでは小岩井さんの周りに人が集まる理由を強く感じた。予想外な動きをする小岩井さん、今後の活動にも期待である。ホント、エエ娘やった

なお、小岩井ことりさんのご厚意で「VRイヤホン」こと “final『E500』”(小岩井さんがラッピング)を抽選で3名様にプレゼントできることとなりました。応募期間は2020年11月2日PM11:59まで。

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参照元:kotoneiro
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼『FIRE & ICE』の炎を表現する小岩井さん


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