【実録】インスタに「写真をお金にしませんか?」と怪しいメッセージが着た → 潜入した『スマホアフィリエイト説明会』の衝撃内容とは!?(3ページ目)

・第6章:「桐島、燃ゆ」

淡々とした口調で繰り広げられてきたスマホアフィリエイト説明会。それまでは桐島のソロ公演状態だったが「目が合ったのでそこの方。月にいくら稼ぎたいですか?」という言葉をきっかけに、会場が一気に熱を帯び始めた。

「50万円くらいは……」「私も50万くらい」「できれば100万欲しいです」……などと生々しい声が挙がると、桐島は「エルメスのバッグ欲しいですよね?」「このままの生活じゃみなさん不安ですよね?」「だから今日来たんですよね?」と急激にトーンを爆上げにしてきた!

そして説明会終了まで3分を切ったところで、ついに桐島アクセル全開!! これまでとは打って変わった熱血漢に変身し、怒涛のラッシュを畳みかけてきたのだ!

「いま決めなきゃ意味がないです! いま決められない人がチャンスを掴めるハズがありません!! 人生変えるのに20万円が惜しいですか? “考えたい“ とか無駄です、その時点でチャンスを逃してます! 誰かに相談したって怪しいって言われるに決まってます! 自分のために決めてください!!」


ななな、なんという熱量! それまで終始貫かれてきた「決めるのはあなたです」のボディが効いているせいか、なんとなく自分で「やってみるか……?」と思ってしまいそうになるから危ない。さらに桐島はトドメの一撃、最終奥義を繰り出してきた!

「クレジットカードがあれば支払えます。しかも契約から20日間なら全額返金します! いいですか? こんなチャンスがあって見過ごすなんて僕には考えられません。もう1度言いますよ? 気に入らない場合、20日間なら全額返金します。これでもやりませんか?」


うーむ、説得力とは違うが、妙な迫力があったことは認めざるを得ない。桐島の「決めるのはあなたですというすり込み」と、目がくらむような「夢のような報酬」、最後には「返金プラン」まで用意されていれば、とりあえず登録してしまう人もいるハズだ。

私自身、もし取材でなければ、そして今の生活に不満が大きければ、もしかしたら一縷(いちる)の望みを賭け、有料プランに申し込んでしまったかもしれない。それくらい、桐島のプレゼンには破壊力と引き込まれるものがあった。

また、すごいのは参加者全員が事務所の契約スペースに流れていくと「みんなやるなら大丈夫かな?」という心理が働くこと。かなりしっかり自分を持っている人でないと、きっぱり断るのは困難なハズだ。

結局、私は契約スペースに移動するフリをして、音もなく会場から立ち去った。いいもん見せてもらったぜ、桐島。ショーとしては十分に楽しめた。機会があればまた会おう──。


・最終章:「ヤツらの正体」

ここからは、今回の説明会で起きた顛末(てんまつ)を知人のネットワークビジネス経験者に報告し、率直な感想を聞いた内容となっている。仮に名前をAさんとしよう。


──私はこういう系の説明会がほぼ初めてだったんですが、平日の14時から20人近くの参加者がいることにまず驚きました。

「うーんとね、たぶんそれほとんどサクラだよ。少なくても15人、もしかしたら君以外は全員サクラだった可能性もあるね」

──え! サクラですか?

「そうそう。もうこれは常套手段。君が言ってた “みんながやってるから大丈夫かな”って心理を働かせるためだよ。普通に考えてごらんよ? 平日の14時に大人が20人集まるか? そんな怪しげな説明会に? ありえないでしょ」

──た、たしかに思い当たるフシがあります。ビルに到着したとき、僕の前を横切った女性が迷うことなく中に入っていったんですね。その人は僕の真横で説明会を聞いていました。いま思うと初めての場所なのに不自然なほど迷っていませんでした。

「でしょ? まあ参加者のほとんどがサクラだと思って間違いないと思うよ」

──なるほど。ではビジネスモデル自体はどうでしょう?

「オンラインカジノ自体はあり得る話だね。コツコツとブログを作って儲けてるヤツも知ってるよ。純粋にアフィリエイト商材としたら普通なんじゃない?」

──同感です。

「でも、親だ子供だティアだって出ちゃったら、もうこれはネットワークビジネスだね。たぶん彼らは本当にオンラインカジノのアフィリエイト自体はやってると思うんだ。ウマいのは儲けさせるフリをして、説明会にきた参加者にも金を使わせるところだね」

──詳しくお願いします。

「うん、300ユーロ動かせっていうのは、要するに300ユーロ負けろってこと。本来のアフィリエイトは、顔も知らないプレイヤーが月にいくら使うかなんてわからないんだよ。でも彼らは金儲けさせるって口実で300ユーロを確実に使わせるんだ

彼らにその数%が入ってくるじゃん。まずはこれが収益の柱になるよね。それに加えて有料プランだっけ? 1人から20万取れるなら大きいよ」

──でも、会場には桐島以外の若いスタッフが6人ほどいました。サクラのバイト代もかかりますし、オフィスの家賃だってありますよね? 本当にやっていけるのでしょうか?

「説明会は1日何回なの? あと参加者のほとんどが受付けスペースに流れてたんだよね?」

──説明会は1日6回です。参加者で離脱したのは僕だけじゃないですかね?

「じゃあ余裕でやっていけるね。仮に1回の説明会で最低1人契約した場合、1日120万、1カ月で3600万だ。バイト代が80分3000円として、サクラにかかる経費は1日18万円、スタッフ6人に1日2万円払っても12万円、つまり90万も手元に残るんだぜ? 家賃払っても美味しいビジネスでしょ」

──た、たしかに……!

「それにアフィリエイトの収益が加わるんだからウハウハだな。俺ももう1回そっち系に手を染めちゃおうかな? そう考えると2回の説明会で1人契約でも十分にやっていけるよ

──数字で考えるとかなり怪しいビジネスですね。というか、最初の「写真でお金を稼ぐ」とか一切出てこなかったですし。

「まあそんなもん。きっかけは何でもいいんだよ。商売的にも配当金を払ったって余裕でやっていけるよ。んで、十分稼いだところでドロン……てのがお決まりだな。それか逮捕されるか、告訴されるか。いずれにせよいい死に方はしないと思うぜ?」

──ではネットワークビジネスだと思って間違いないですかね?

「俺は中の人間じゃないし実際にやってないから100%とは言い切れないけど99.999%はクロ! 典型的なネットワークビジネスしょう!! 話を聞くとイマドキな感じもするけど、根っこの部分は昔ながらな感じがしたよ、懐かしいね。まあ手を出さないこと、これが一番! 美味しい話なんて滅多にないんだから」

──そうだ、僕は電話番号教えちゃったんですけど大丈夫ですかね?

「まあせいぜい怪しい名簿に載せられて売られちゃうくらいじゃない? ガッハッハ(笑)」


いかがだっただろうか? インスタへのコメントから始まり、気付けばスマホアフィリエイト説明会に潜入、さらには桐島の登場もあった今回の潜入レポート。彼らの手口をまとめると、


SNSやブログで勧誘」 → 「LINEでコンタクト」 → 「説明会へ勧誘」 → 「高額商材を売りつける


……といったステップを踏んでいる。そして会場まで足を運んでしまったら、断るのが困難な「ザ・桐島塾」が待っているので、やはり甘い言葉に釣られないのが最善策なのだろう。また、東京だけではなく「全国各地に会場がある」と桐島が話していたことも記述しておこう。

というわけで、インスタに限らず怪しいコメントやメッセージは完全に無視、くれぐれも反応しないようにご注意いただきたい。心のスキマに桐島は入り込んでくるのだから──。

Report:P.K.サンジュン
イラスト:稲葉翔子
Photo:RocketNews24.

▼すべてはこの投稿から始まった。

▼桐島、機会があればいずれまた会おう──。