ほんのちょっと前まで、日本全国津々浦々のゲーセンには、ピンボールというものがあったそうじゃ……。どんなしょっぱいゲーセンにも、二、三台のピンボールが必ず設置されており、熱い男たちが両手で台を抱え、プレイしたそうじゃ……と、何となく昔話調で始めてみたが、事態はそれほど深刻である。

かつてはセガ、データイーストなど、日本のメーカーもピンボールを作っていた。それがどうだ? いま、ピンボールの筐体を置くゲーセンが何箇所あるだろう。絶滅の危機と言っても過言ではない。

寂しくて虚しくて、どうにかなりそうなピンボールファンの皆さんに朗報。台北の横丁に熱血ピンボーラーのオアシスがあった!

聖地は台北中心部。台湾で最も古く、最も有名なお寺「龍山寺」の目と鼻の先にあった。周辺はアダルトグッズ、AV専門店をはじめ、ヘビ料理店などのキワい店が多いので子供連れは要注意。

龍山寺の西側に広がる屋台街を50メートル程進むと、4台のピンボール筐体を歩道に並べた小汚い店が見えてくる。そう、店の中に置くスペースが無いため、筐体は全て路上に配されているのだ!

並んでいたのは「GRAND PRIX」「ソプラノズ」「World Poker Tour」「HARLEY-DAVIDSON」の四種。全てSTERN(スターン)社製のピンボールだ。仕方ない。この地球上に現存する唯一のピンボールメーカーなのだから……。

取材時、「いかにも」な感じのヒゲ親父が猫背でプレイにいそしんでいた。その親父の傍らに、将来のピンボール界を背負う半ズボンの小学生がぴったり寄り添い、プレイを見つめていたのが印象的だった。ねえぼく、夜10時過ぎてんだけど……。

後日、グーグルストリートピューで場所を確認したところ、取材時と異なる筐体を確認。メンテナンスや台の入れ替えも頻繁に行われているようだ。行くなら今しかない!

場所 : 台北市萬華區廣州街160號
(取材・文=クーロン黒沢

▼名人の技をじっと盗む未来のピンボーラー。学校は大丈夫なのか?

▼おっさんが左手首にひっかけたレジ袋に注目。台湾ではレジ袋が有料です

▼この店をGoogleストリートビューから眺めてみよう……あらっ?

▼あーーっ! ストリートビューの中の人もピンボールやってる!