詐欺怖い。絶対に引っかかりたくないものだ。本サイトでも何度も注意喚起をお伝えしているが、それほどに詐欺があふれかえる世の中である。気をつけて気をつけすぎることはないだろう。

そう思っていたところ、三井住友カードから重要なお知らせの封筒で「カード差し替えに関するご協力のお願い」なるものが送られてきた。なんでも「カード情報が第三者に流出した可能性がある」ため、「カード番号変更」をする必要があるのだとか。

大変だ! 直ちに記載されているURLにアクセスしてカード番号を変更しないと!! と、その時ふと思った。これって詐欺じゃね

・封筒の内容

書面によると、三井住友カードの調査の結果、過去に利用した加盟店から、カード情報が第三者に流出している可能性があることが判明したらしい。

三井住友カードでは、24時間体制でカードの利用状況をモニタリングしているが、今後第三者に不正利用される可能性があるのだとか。そのため、カード番号変更の手続きを求められているようだ。読んだところ日本語に不審な点はない。

大変だ! 一刻も早く差し替えないと!! そこで差し替えの手続きが書かれているという別紙を参照してみたところ、差し替えの手続きは以下の通りだった。


1. 以下の「Vpass」ページにアクセス
2.「カード差し替えに関するご協力のお願い」ページの「同意します」をクリックし、Vpassにログイン
3. 申し込み完了

──さっそく、記載のアドレスにアクセスしてみたところ、書面と似た内容の文言が表示された。どうやら、変更した場合「手続きの翌営業日から使えなくなる」模様。さらには、新しいカードの到着には約1週間~10日程度かかるという。

タイムラグが生じているのが面倒くさいことはさて置き、仕方がないのでカードの差し替えに「同意します」ボタンをクリック。すると、Vpassのログイン画面に遷移する。

・フィッシングサイトだったらどうしよう

IDとパスワードを入れようとした時、ふと思った。「これが巧妙に作られたフィッシングサイトだったらどうしよう?」と。

そこで、一端操作を中断し、書面のアドレスではなく普通にVpassにログインしてみたところ、書面のアドレスと同じページが見当たらない。……?

ちょっと焦って三井住友カードの公式サイトも確認してみたところ、トップに「不審なメール・SMSへのご注意と、弊社から送信するご利用確認のSMSについて」というニュースが。クリックしてみると、不審メール、サイトの事例として以下のようなものが掲載されていた。

「『【重要】三井住友カード株式会社からの緊急のご連絡』
昨今の第三者不正利用の急増に伴い、弊社では「不正利用監視システム」を導入し、24時間365日体制でカードのご利用に関するモニタリングを行っております
このたび、ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたいお取引がありましたので、誠に勝手ながら、カードのご利用を一時制限させていただき、ご連絡させていただきました。
つきましては、以下へアクセスの上、カードのご利用確認にご協力をお願い致します。(以下省略)」──三井住友カードサイトより引用

ホンゲェェェエエエ! ほぼ同じやん!! 上記のメールは、「Vpassへのログインを促し、メール内のリンクをクリック(タップ)すると、IDやパスワードを入力させる偽サイト(フィッシングサイト)に誘導するもの」らしいのだが、24時間のくだりとか、監視とか、Vpassに振るところとか……流れが私に届いた書面と同じなのである!!

・書面だからと安心できない

そう言えば、以前、ハガキで詐欺が届いたこともある。サイトに載っているのはメールだが、書面だからと言って油断はできない。そこで再度、届いた書面をよく見てみたところ、アドレスの下にこう書かれていた。

「※上記URLは対象のお客様のみにご案内しているため、検索バーや弊社ホームページから検索できません」

マジかよ!? アクセスできるのは書面に書かれたアドレスとQRコードだけということか。セキュリティーをしっかりするためにも見えるが……じゃあ、どうやってこの書面が本物って見分けるの

・問い合わせも繋がらない

不安度が増してしまった……。しかし、本当に流出していた場合、放っておくわけにはいかない。そこで確認のため、三井住友カードのお客様サポート『FORYOUデスク』に電話してみたところ……

「新型コロナウイルスの感染防止対策に伴ってお電話が混みあっております」と自動音声が2回繰り返されて電話が切れた。せめて待たせてェェェエエエ


一応問い合わせBOTでも問い合わせようとしてみたが、そもそも選択肢型のBOTに、こういった選択肢はなかった。クッ、全然サポートされるところまでたどり着けない……!! むしろ、伸ばした手をことごとくはたかれている気さえする。

・三井住友に行ってみた

もう三井住友に行くしかない。そもそも、書面が事実なら一刻も早く変更したいのである。そこで三井住友銀行のクレジットカードコーナーの受付で、届いた書面を見せながら詐欺かどうか聞いてみた。

すぐに答えが返ってくるかと思いきや、書面をチェックして別の人を呼ぶ銀行員さん。さらに、他の銀行員さんも集まってきて、4人くらいで書面を指さしながらチェックが始まった。その結果……


三井住友銀行・銀行員さん「Vpassからログインして行うものなので、これは三井住友カードから送ったものかと思われます」


──なるほど。でも、不安なのは、このアドレスのページがここからしか飛べないこと。このアドレスと別にVpassにログインしても、カード番号変更ページは表示されないんですけど大丈夫ですか? こういうフィッシングあるよって公式サイトに載ってるんですけど

そう訴えてみると、「三井住友カードに確認しますので少々お待ちください」と言い残し、奥に引っ込んでいく銀行員さん。

・三井住友カードの回答

電話繋がらなかったのはさっきだけど直通でかけてくれるらしい。改めてクレジット番号や使用している口座番号などを伝えると三井住友カードに問い合わせてくれた。そして返ってきた答えは……


「三井住友カードからカードの差し替え案内を送りました」


つまり、案内は本物だったのだ。ほっ


って、あっかーーーーーん! カード情報流出してもうてるやないかーーーーーーい!!

・ゾッ…

もうこんな遠回りはまっぴらだ。そこで最後に、三井住友銀行の銀行員さんに、詐欺との見分け方について伺ってみたところ……


三井住友銀行・銀行員さん「これと言える見分け方がないんですね。なので、今回、お客様が行ったように、怪しいと思ったら三井住友にご確認いただけるのが一番安全かと思います」

──とのこと。正直、手間を取らせてしまい申し訳ないとも思っていたのだが、三井住友銀行の人でも簡単には断言できないことが判明した。

しかし、こういった情報漏洩ってよくあることなのだろうか? そこで、普段見たことがなかったVpassのセキュリティー情報の項目をチェックしてみたところ……

めちゃんこ個人情報流出しとるやないかい


ゾッとした。もちろん、悪いのは不正アクセスや詐欺を働く側だが、2021年3月なんて2回もいかれてるではないか。出しすぎだろ。パチンコ屋だったら潰れてるぞ。

というわけで、今後、あなたのところにも本記事のようなお知らせが届くかもしれない。その際は、落ち着いて対応することをオススメする。嫌な世の中になったもんだなあ全く。

参考リンク:三井住友カード「不審なメール・SMSへのご注意と、弊社から送信するご利用確認のSMSについて
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.