どうもみなさんこんにちは、こんばんは、ロケットニュース24のP.K.サンジュンです。最近、急激に寒くなってきましたが、皆様どうお過ごしでしょうか? 毎朝、娘を自転車で保育園に送り届けている私としてはなかなか寒さが身に沁みます。とりあえず早く春になってくれないかなぁ。

さて、どうやらネット上ではDHC会長の「差別発言」が炎上しているようです。この世に生を受けて42年、バリバリの在日韓国人として生きてきた私としてはある意味で慣れっこのニュースなのですが、今回はちょっとスイッチが入ったので思うところをツラツラと綴っていきたいと思います。

・絶賛炎上中

ご存じの方も多いと思いますので、今回の件の概要についてはサラッとだけ説明しておきましょう。批判が集まっているのはDHC公式サイトに掲載されている「ヤケクソくじについて」という2020年11月日付のテキストで、そこには以下のように記載されています。


「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです。DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本人です」


発言の主は株式会社DHC代表取締役会長・CEOの吉田嘉明氏で、このページは現時点でも閲覧可能。端的に言って明らかな差別発言ですので、炎上するのも無理はないでしょう。良し悪しは置いておいて「DHCはこれを諌める人がいないほどのワンマン企業なんだなぁ」と感じた次第です。

・率直な感想

ただし、私がこの件を耳にした時点で「ちくしょーーー!」とか「差別されて悲しい……」なんて感情は1ミリも湧き起こりませんでした。冒頭でもお伝えした通り、この手のニュースは慣れっこで、ただ「面倒くせえな」と感じただけです。

差別の問題になると「日本に差別はない!」と声高に叫ぶ人がいますが、日本にも差別はありますし、在日韓国人を快く思わない一定数の方がいらっしゃることでしょう。今回は大企業の社長で、なおかつ周囲が止められないほどの強大な力の持ち主だったため「この件が明るみに出ただけ」とも考えられます。

また、私自身「在日韓国人って素晴らしいんだよ!」とか「韓国最高!!」……などとはこれっぽっちも思っておりません。特に現在の韓国政府には憤りを覚えますし、日本にだけやたらと絡んでくるタチの悪さについては、おそらく日本の方たち以上にイラっときています。

「在日韓国人」に関しては当事者なので何とも言えないんですが、周囲の友人や知人を見る限り「たくましいな」とは思いますね。当然、中には人の道から外れた悪事を働く在日韓国人もいるのでしょうが、そこまで来ると個人の資質としか言いようがありません。つまりは「在日だから」「日本人だから」ではなく「人間だから」と言うことになるでしょう。

・もちろん日本は好きだけど

で、私の体に流れる血が100%韓民族の血であることは紛れもない事実であり、同時に私が日本のことが好きだという感情も事実です。そりゃあ生まれてこの方、日本で育っているんですもの、日本が好きに決まっています。

一方で「本当、日本はダメだな」と思うところもあるんですよ。これだけみんなが真面目に働いているのに、どうしてこんなに貧乏になりますかね? 主体性の無さというか、当事者意識の希薄さというか。選挙の投票率なんかを見るたびに「日本はダメだな」とイラっとしています。


さてさてさて──。


とっ散らかって来たので話を元に戻しましょう。DHC会長の差別発言についてです。先述の通り、私はこの手のニュースを耳にしても「面倒くせえな」としか感じません。それは私がある意味で “猛者” であり、それくらいのことではビクともしない鋼鉄の心の持ち主だからです。

・放置しようかと思ってたけど

考え方は人それぞれ。「在日だから」と一括りにされることを快くは思いませんが、DHC会長のような思考の持ち主がいることは否定しません。ただ「大人げないな」「まあ、俺は真っ当に生きてるけどね」と思うだけです。

例えるなら、この程度の発言は「爪ようじでチクリ」レベルの感覚で「え、面倒くさい」と思うだけ。本来ならわざわざ記事にするほどのスイッチも入らない、些細な出来事です。良いのか悪いのか、それくらい私は出来上がってしまっているのでしょう。

ただし、4歳の娘のことを思うとそうも言っていられません。ホント、今回の件を記事にするつもりは全くなかったんですが、娘の寝顔を見ていたらバチンとスイッチが入りました。私もロケットニュース24を通じてメッセージを発信できる立場、良くないことは良くないと言っておかないとな、と。


・娘のために書きましょう

おそらく4歳の娘はまだ差別という概念すらなく、彼女のディフェンス力は風船のようなものでしょう。私は爪ようじでいくら刺されても痛くもかゆくもありませんが、娘は一撃で深い心の傷を負う可能性も否定できません。

日本国籍の娘ですが、苗字は韓国ですし、何より半分は私の血が流れているワケです。もちろん、私も彼女のディフェンス力を高める教育をしていくつもりですが、一方で娘や在日韓国人の子供たちに迫ってくるかもしれない刃の数を少しでも減らしておかなくてはなりません。

私は生まれて1度も韓国のことを誇りに思ったことはありませんし、日本を誇りに思う立場でもありません。ただ「在日韓国人」という概念ではなく「在日韓国人として日本で面白おかしく生き抜いてきた自分」に対しては少しだけ誇りを持っています。

正直、別に私は性格がいい方ではありませんし、知らず知らずのうちに誰かを傷つけている可能性も否定できません。とはいえ、私と仲良くしてくれる人はいて、というか結構いて、おかげ様で充実した毎日を過ごせています。

何事も最終的には「個人の資質」によりますが、それでも属性ごとにグルーピングしたくなるのは人間の性(さが)なのでしょう。ならば遠回りかもしれませんが、私という在日韓国人がダークサイドに闇落ちすることなく、面白おかしく好きな日本で生きていることを発信する行為に、少なからず意義があるハズです。

詰まるところ「娘や子供たちのためにも、しっかり生きないとな!」ということですね。DHC会長、僕は日本が好きですよ。ダメなところもいっぱいあるけれど、それ以上に良いところもいっぱいありますよね。でも日本愛をこじらせて在日韓国人を攻撃するのはやめてください。普通に大人げないです。

参照元:DHC公式サイト「ヤケクソくじについて」
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.