漫画『ドラえもん』では、しばしばヒロインのしずかちゃんが “隠れてこっそり焼きイモを食べるシーン” が描かれている。当時は焼きイモ屋が珍しくなく、たき火に関するルールも厳しくなかったことから、今より焼きイモが身近な存在だったのではないだろうか。

つまり、かつて “ちょいダサおやつ” のイメージだった焼きイモが、現在は “特別なおやつ” というポジションにいるわけだ。秋らしくなってきた今日このごろ。スーパーなどで焼きイモが売られ始めたが、もっと手軽に食べたいと思っている人も多いはず。

いっそのこと職場でアツアツの焼きイモが焼けたら最高なんだけど!

・あきらめがつく価格

……とか思っていたら、アキバの電気ショップで『焼き芋メーカー』という商品を見つけた。購入価格はたったの1500円(税抜)。5本も焼けば元が取れる計算である。

どことなく日焼けマシーンにも似たその全貌は、イモを入れて電源コードを挿すだけというシンプル構造。職場のデスクに置いても全く邪魔にならず、違和感もない。

直径6.5cm、長さ21cm以上のイモはサイズオーバーなので注意が必要!

説明書によると、まず洗ったイモをラップで包み、レンジで1分加熱する。たった1分加熱したところでイモの硬さに変化はないけれど、この一手間に何か意味があるのだろう。

ちなみに最近 “レンジで焼きイモが作れる” というレシピや商品を目にすることもあるが、それは正確に言うまでもなく『ふかしイモ』である。どちらもおいしいが全くの別物なのだ。

説明書に書かれた所定の時間は30分。フタをしてしばし待つ。


・焼きイモの声がする

すると……ほんの数分で焼き芋メーカーは奇妙な音を発し始めた。どうやら焼きイモが焼ける音のようだ。静かなオフィス内に「パチパチ」「ブスブス」「ボフッ」等といった、イモの断末魔が響き渡る。

しばらくすると甘〜い焼きイモの香りも充満してきたため、少しだけ職場内がザワつく事態となった。30分でイモは焼き上がったが、個人的には多少コゲているくらいが好みなのでもう少し焼くことにしよう。

おっ、だんだんイモの内側からジワリと蜜が染み出してきたぞ。これは結構イイ感じなんじゃないだろうか? 所要時間は50分。見た目は石焼きと見分けがつかないが果たして……?


ムムム! これは味もお店の焼きイモと遜色ないウマさ!!!


・職場でのコミュニケーションに

焼きイモをもらって嬉しくない日本人はそう多くない。ホクホクの焼きイモを職場の同僚に分けてあげれば、パクパクと嬉しそうに食べている。みんなで食べれば何倍もおいしい……それが焼きイモ。

また『焼き芋メーカー』は、トウモロコシも焼くことができる。

イモ同様にラップして1分レンチンしたらあとは待つだけ。

お好みで醤油を塗れば、「ゆで」とは一線を画す立派な焼トウモロコシの完成だ。お世辞ぬきで出店できるレベル!

ちなみに焼トウモロコシの匂いは焼きイモよりも強烈で、ついに職場内から「誰か『磯辺焼き』焼いてない?」との声が上がった。音や匂いを隠すことは不可能に近いので、焼き芋メーカーを職場で使えるかどうかは「職場の雰囲気しだい」ということになるだろう。

こうなると個人的には、思い切って「焼き芋メーカーを導入しましょう」と上司に打診してみることを提案したい。電子レンジやウォーターサーバーと同じ、いわば福利厚生である。働き方改革が叫ばれる昨今、焼きイモの匂いが漂うオフィスというのも、日本らしくて風流なのではないだろうか。

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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