本日2020年8月28日の金曜ロードショーは『借りぐらしのアリエッティ』だ。今夏の3週連続ジブリのラストを飾る本作は、今年で公開されて10年が経つ。

そんな本作を改めて見てみたところ、まず作画に目を奪われた。絵具特有の味のある背景からは自然の豊かさや光の美しさがあふれ出すようである。出だしからジブリワールド全開だ。

それとは別に今だからこそ思ったこともある。これ、金曜ロードショーで改めて見る人もきっと思うんじゃないだろうか? そこで「あるある」という形でご紹介したい。

【『借りぐらしのアリエッティ』を今改めて見ると思いがちなこと】

1. 媚びてない猫にまずジブリを感じる
2. 一方バッタの可愛さが童話
3. お母さんにローリエ渡すところのアリエッティの表情がジブリ
4. お父さんに漂うラピュタの鉱夫感
5. 人間の家を進む時のRPGダンジョン感はゲームでもいけそう
6. キッチンが怖すぎる
7. 両面テープでクライミングするお父さんカッケー
8. 電源を外した奥に小人の道が続いてるワクワク感がジブリ
9. ゲームだったら人形の家がセーブポイント
10. 響く時計の音に感じるボスステージ感
11. イベント発生
12. 変わる時計の音と感情の読み取れない翔の目が不気味すぎる
13. 脳裏にチラつく数年前に社会現象になったある作品
14. いや、きっと気のせいだ
15. 角砂糖を置く翔の足音に再びチラつくある作品
16. いや、気のせいに違いない
17. 家政婦ハルさんの不穏な動き
18. スピラーの「このくらいいる」がどのくらいか分からない
19. 突然の襲撃にチラつく例の作品
20. 巨大な手の風切り音
21. 家の壁を引き抜く圧倒的破壊にデジャヴュ
22. 気のせい……じゃない?
23. 優しい目で酷いことを言う翔
24. 自虐的な「全部僕のせいだ」が本当に翔のせいでビビる
25.「67億人だよ」の時の翔の魔王感
26. 神木隆之介の穏やかな声に漂う絶望の香り
27. バールのようなものとハルさんの組み合わせの不穏さ
28. み~つけた
29. ハルさん顔! 顔!
30. もはやモロである
31. マジ進撃のハルさん
32. アリエッティを肩に乗せる翔がアルミンを肩に乗せるエレンと一致
33. 進撃の翔
34. 最終的には動きも巨人になるハルさん
35. 後半ほぼ『進撃の巨人』

──というわけで『借りぐらしのアリエッティ』は改めて見ると壁と立体機動装置のない『進撃の巨人』だ。人間目線で描かれるシーンはほのぼのしてるのに、小人目線になると一気に進撃度が増すのである。当時はアニメ版『進撃の巨人』はまだ放送されてなかったし気づかなかったけれど。

それでも、この物語が童話然としているのは誰にも悪意がない点。善意からの行動であっても、見る角度や立場によっては悪になりえる。人間の視点と小人の視点、作中で入れ替わる2つの視点からはそんなことを感じずにはいられない。それだけに最後の翔とアリエッティのシーンは救いだが。

そして、見た後にちょっと世界の見方が変わるところはまさにジブリ。以前見たことがある人も今夜見てみると、小人が新たな世界を教えてくれるかもしれない。改めて名作である。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.