アニメや漫画、ゲームなどのエンターテイメントには、どうしても世代間ギャップがつきまとう。幅広い年代の作品を愛好する人はいるが、残念ながら私(佐藤)はその垣根を超えられずにいる。実際に見たことがない作品が数多くあるうち、『新世紀エヴァンゲリオン(以下、エヴァ)』もそのひとつだ。

本来であれば、2020年6月27日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が公開される予定だった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により延期。それを受けて、株式会社カラーは公式YouTubeチャンネルで過去の3作(序・破・Q)を期間限定で無料公開している。

これまでエヴァを知らない人生を歩んできた私。これは世代を超えて愛される作品を知るいいキッカケだと思ったので、初のエヴァに挑戦してみることにした。取り急ぎ『序』と『破』の2作を見たところ、猛烈に目頭が熱くなってすぐにでもエヴァを知らない人に素晴らしさを伝えたくなった。できれば劇場のデカいスクリーンで観たかった……。なお、無料公開は5月3日、つまり今日まで! まだ観てない人は急げ~ッ!!

・名前は知っているけど……

エヴァがテレビアニメとして放送されていたのは1995~96年のこと。その当時、私は22~23歳くらい。テレビ東京系で放送していたが、うちの地元(島根)ではリアルタイムで見ることができなかった。

その後、何となく「エヴァ」をはじめ、「碇シンジ」や「綾波レイ」「初号機」といった名前をアチコチで見かけてはいた。セリフも多少わかるけど、どういう場面で発せられたのかまでは知らない。一向に「見るぞ!」という気構えのないまま現在に至ってしまった。


・エヴァを知らない同世代へ

なお、私は事前知識ゼロで作品世界のこと、アニメ本編も詳しく知らない。その前提で作品を観たことをあらかじめご承知いただきたい。そして本稿は、まだエヴァを知らない私と同じオッサン世代の方にオススメする意味で執筆しているとご理解いただければ幸いである。


・ロボットアニメではなかった

序・破の2作を続けて視聴した率直な感想は「シンジがかわいそう」だ。その言葉がまず頭に浮かんだ。中学2年生の少年シンジはただでさえ控えめで大人しく、ナイーブな性格の持ち主。

才能があるとはいえ、エヴァンゲリオン初号機のパイロットとして、戦いを強いるのは “酷” というもの。私は作品を観ているほとんどの時間を「シンジ~……シンジよ~……」と、心の中でその名前を励ますような気持ちで唱えていた。


シンジはごくありふれた普通の中学生だ。主な戦闘の舞台となる「第3新東京市」に移り住み、そこの学校に通う。何もない日には、普通に勉強して友達と遊んで、時には学校の帰りに駄菓子屋に寄ってアイスを買い食いする。

同居人で上司の葛城ミサトは、毎晩のように酒を飲んで「プハーッ!」。同じく同居するエヴァ弐号機の式波・アスカ・ラングレーには「バカシンジ」扱いされる。それでもそれらの日常が一様に和やかで、ありふれたもののように描かれている。そうであればこそ、愛しくも思えてくる。


これから観るであろう人のために、詳細をお伝えするつもりはないのだが、これほどまでに唱歌を効果的に使った作品を私は知らない。あの素朴な旋律に、胸が張り裂けるような思いがしたのは初めてのことだ。

それに限らず、長らく人の心を掴んで離さない作品世界の素晴らしさをそこかしこに垣間見た。もっと早く観ておけばよかったと反省した次第である。アニメ本編も気になって仕方がない。


作品を観る前までは「ロボットアニメ」くらいの認識しかなかった。しかし、(まだQを残して)観終わったらそもそもエヴァはロボットでなく、アニメの枠に収まらないものだと感じた。これはアニメというより「人間賛歌」なのではないか。かわいそうと感じるシンジからほとばしる生命の息吹に、涙がこぼれそうになった。

まだ2作しか見ていないのに、ここで泣く訳にはいかないと涙がこぼれ落ちるのを堪えたほどだ。私は今日中に「Q」を視聴する予定だが、今から楽しみでたまらない。はたしてこの物語は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』とあわせ、どのような結末を迎えるのだろうか……。

私と同じようにエヴァを視聴するにあたり腰が重かった人は、ぜひ、ご覧いただきたい。無料は今日までだからな! ちなみに順番は 序 → 破 → Q だ

参照元:YouTube 「エヴァンゲリオン新劇場版シリーズ 期間限定無料公開
執筆:佐藤英典

▼5月4日、5日、6日は「ABEMA」で3夜連続配信されるぞ〜!