どんなにスマホが普及しても、おそらく最後まで消えることのない紙の文化「システム手帳」。書店には「手帳術」を解説した書籍が並び、勉強にしろアイディアをまとめるにしろ、「手を動かして紙に書く」という行為に特別な効果があるのは誰もが認めるところだろう。

けれど、毎年のように手帳を新調しては、最後までページを埋められなくて挫折した経験はないだろうか? ずばり筆者がそれだ。

雑誌で紹介されるような素敵な手帳を作るには、個性的な文字だったり、カラーペンの使い方だったり、とにかく「美的センス」が求められる。あいにく筆者はそんなもの持ち合わせていない。比較的長く書いているのはロフトの「ワナドゥ手帳」だが、それでも決して満足のいく仕上がりにはならない。そんな筆者でも簡単にカッコいい旅日記を作れそうな最強ツールを見つけたのでご紹介したい。


・キヤノン『iNSPiC』

『iNSPiC』は、スマホとBluetooth接続して使う超小型プリンターだ。本体サイズは縦118mm×横82mm×高さ19mm。重さはわずか160gで、USB充電してどこにでも持ち運ぶことができる。専用のZINKフォトペーパーを使うことで、インクが必要ない。

実はこれまでも、コンビニのマルチコピー機でスマホ内の写真を印刷することはできた。手帳サイズの小さめ印刷もできたのだが、用紙は一般的な光沢紙だけ。どこかに貼りたい場合は、糊や両面テープで接着する必要があった。『iNSPiC』の最大の特徴は、はじめからプリクラのようなシール紙になっていて、簡単に手帳に貼れること!

フォトペーパーのサイズは5cm×7.6cmの一択。20枚入り(税込990円 / 公式オンラインショップ価格)と50枚入り(税込2365円 / 同)がある。

1枚のフォトペーパーを最大で6分割できるので、1つの画像は1〜2cm四方まで小さくできる。逆に、大きなサイズは後述する「タイルプリント」という機能で作る。


・専用アプリで操作する

スマホに専用アプリ「Canon Mini Print」をインストールして、Bluetoothでペアリングさせれば準備は完了。難しいことはない。

スマホからデータを転送すると、ジジジ……とアナログな音を立てながら、ゆっくりとフォトペーパーが排出される。画質は、もちろん本格的なプリンターで印刷するのに比べたら高画質とは言えないが、小さいので十分にきれいに見える。


・コラージュプリント(小さく印刷)

基本サイズよりも小さくしたいときはこの機能。最大で6枚の写真をコラージュすることができる。分割の形はいろいろ選べて、不均等にしたり長方形にしたり、それぞれの割合を変えることも可能だ。後でハサミでカットするのは自分なので、好きなサイズにしてよい。

簡単な画像加工機能もある。拡大縮小はもちろん、フィルターや色補正ができる。別途、画像加工アプリを使ってもよいが、出来上がりがとにかくミニサイズなので凝った加工はいらないと思う。筆者は内蔵の機能で十分だ。このアプリに不調があるというレビューもあったのだが、筆者の環境ではデータの転送中にフリーズすることがあった程度で、特に問題なかった。


・タイルプリント(大きく印刷)

基本サイズよりも大きくしたいときはこの機能。複数の画像をつなげて大きな画像を作る。2×2枚と3×3枚があり、後者だと15cm×22.8cmの巨大な写真になる。

実際に印刷してみると、建物のような細かい部分はかなりきれいにプリントされていることがわかる。

一方で、空のように単色の部分は色ムラができ、隣り合っているタイルも同じ色にならなかった。『iNSPiC』は広い面積で均等に発色するのは苦手だと思った方がいいだろう。これくらい大きな画像ならば、普通にコンビニでA4印刷した方がよさそう。


・マークスのリフィル(税抜500円)

ここまででも十分に魅力的なガジェットなのだが、実は『iNSPiC』は文房具メーカー・マークス(MARK’S)のシステム手帳とコラボしている。印刷した写真がぴったり合うようなレイアウトの、3種類のリフィル(カフェ・トラベル・育児)が発売されているのだ。これを使えば、誰でもセンスのいい手帳が作れそう!

さっそく手帳を作ってみよう。リフィルはたっぷり30枚入り。紙質は薄めで、コピー用紙のようなすべすべした質感。ロフトの「ワナドゥ」は厚紙のようなしっかりした紙なので、それに比べるとだいぶ柔らかい。

まずは使用例で例示されているサイズで写真を印刷して……(※トラベルの方、使用例には4分割と書いてあるが6分割の誤りだと思うので注意)

文字を書き入れて

写真を貼ったら

まぁ、なんということでしょう! 何となくカッコいい取材ノートができたような!

もうひと工夫。これはダイソーで売っている「貼れるコーナーポケット」と「貼れるカードホルダー」という商品。ショップカードやチケット、絵葉書などを挟むのにちょうどよさそうなグッドアイテム。

これを使えば資料もきれいに取っておける。名刺など、後から取り出して裏面を見たい書類にはぴったりだ。


・アイディア無限大

写真を撮ってその場で気軽に印刷するというのは、頭の中身をアウトプットできるような感覚ですごく便利! 専用アプリに搭載されている画像加工機能で簡単な文字入れもできるので、文字まで打ってしまって印刷してもよさそう。公式サイトではメッセージカードやカレンダーを作っていた。

絵日記風に何気ない1コマをスケジュール帳に貼ったり、気になったもの、欲しいものをパシャパシャ撮ってアイディアノートにしたり。読んだ本の表紙を貼ってもいいかもしれない。レシピノートやコレクション目録もいいだろう。どんな手帳にしよう、と想像すると書く前から夢が膨らむ。筆者も今年こそは1冊の手帳を最後まで使い切ることを目標にしたい。


参考リンク:CanonMARK’SLoFt
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Canon Mini Print(iOS)