2020年2月28日、JASRACとヤマハ音楽教室の訴訟について第一審の判決が下った。東京地裁はヤマハの訴えを棄却。つまり、JASRACの勝訴である。

この訴訟は、「教室で演奏する曲に対する著作権利用料の徴収」を巡りヤマハ音楽教室がJASRACを訴えていたもの。主な争点をまとめると以下の通りである。

・争点

1. 著作権法22条の「公の演奏」について
2. 著作権法22条の「聞かせることを目的」とする演奏について

──詳細に言うともっとあるが、簡単にまとめると上記の2点がポイントだ。ヤマハ側の主張を要約すると、「公の演奏」については「公衆にあたる聞き手がいない」というもので、「聞かせることを目的とする演奏」については「確認作業で聞かせるためではない」と訴えている。

一見すると、JASRACに立ち向かう音楽教室のような構図にも見える本裁判。そのためか、この訴訟が報じられた当初、ネットはJASRACへの批判の声にあふれた。

一方で、著作権利用料とはミュージシャンの収入に直結するものである。ゆえに、プロミュージシャンの中には「音楽の未来を考えるなら、未来の音楽家だからこそ、権利の意識はしっかり持たないといけない」という意見の人がいるのも事実だ。さて、音楽の未来はこれからどうなっていくのか? 今後を見守りたい。

Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.