TOKYO MXでの放送が中止となった深夜アニメ『異種族レビュアーズ』。剣と魔法のファンタジー世界が舞台である本作。しかし、主な内容は、亜人種族の風俗店を回るもので異世界ファンタジー作品としては異色の作品だ。まあ、色んな意味で冒険はしてるけど

そんな本作は、BPO(放送倫理・番組向上委員会)にも意見がバンバン届いているようだ。1月28日に開催された「第221回青少年委員会」の議事録がBPOの公式サイトで公開されたのだが、「視聴者からの意見」がモロに『異種族レビュアーズ』への苦情だった

・BPO議事録

2019年12月1日から2020年1月15日までに寄せられた視聴者意見を取りまとめた今回の議事。番組名まで明記されていないものの、おそらく『水曜日のダウンタウン』の企画「MONSTER IDOL」、紅白歌合戦、「笑ってはいけない」シリーズなどだと思われる、様々な番組への意見が紹介されている。

そんな中に、アニメで唯一食い込んでいるのが、BPOいわく「人間・悪魔・天使などが同居する架空の世界の風俗店を男性主人公が渡り歩く深夜のアニメ」。『異種族レビュアーズ』しかないだろコレ! 寄せられている意見は以下の通り。

・『異種族レビュアーズ』についてBPOに寄せられた視聴者意見

「性的な内容となっていて、このようなアニメが年齢制限もなく青少年が見られる現状に憤りを感じる」
「深夜アニメではあるが、ファンタジーとはいえ風俗店を男性が評価しており、女性キャラクターを蔑視している」
「アニメなのに風俗と下ネタばかりで子どもに悪影響がある」

──苦情の嵐。繰り返すが、これは1月15日までに寄せられた意見だ。『異種族レビュアーズ』は1話がTOKYO MXで放送されたのが1月11日の深夜25時30分なので……1話で嵐。これに対して青少年委員会からは以下の意見が出たという。

・青少年委員会の討論内容

「気持ち悪いから、下品だからという視点での評価については、言論・表現の自由との関連で非常に慎重にしなくてはいけないと思う」
「遅い時間帯の子どもの視聴については、保護者にも配慮してもらうという民放連の規定も踏まえて検討する必要がある」
「昔はテレビの深夜時間帯は大人のものという切り分けができたが、今はネットで24時間いつでも見られるため、社会的な時間の分け方の状況が変わってきている。そういう変化をどう捉えたらいいのか考えさせられる」
「テレビは子どもだけを視聴者として対象にしているものではないので、深夜帯に大人向けのアニメを、表現の自由の範囲内で放送することはできるというスタンスでテレビ局は制作しているのだと思う」
「制作する人や原作者の過激化というのが、アニメには限らないので、これがじわじわと深夜から普通の時間内に入ってくることには気をつけておくべきだ」

──深夜帯での放送ということもあり、表現の自由について考慮した上で慎重に議論しているように見受けられる。なお、結論としては「これ以上話し合う必要なし」ということに落ち着いたようだ。

「ネットは24時間視聴が可能」という意見が出ているが、個人的にはネットはテレビと違い、かなり能動的に見るものだと思う。見たいものを検索して見られるのがネットの強みだからだ。

・最後まで走りきれるか

ちなみに、『異種族レビュアーズ』のTOKYO MXでの放送中止が発表されたのは2020年2月7日。「編成上の都合」という理由で、今後の放送予定が中止になる旨を公式Twitter(@isyuzoku)で発表した。

すなわち、BPOへの苦情は放送中止が発表される1カ月くらい前の出来事であることは明記しておきたい。なお、関連は不明である。

まだ、サンテレビとKBS京都では生き残っている本作。はたして、地上波で最後まで走りきることはできるのか。

参照元:BPO
執筆:中澤星児
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▼2月7日にTOKYO MXでの放送中止が発表された

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