日本の国民的中華ともいえる「麻婆豆腐」。日本における歴史は意外と新しく、1970年代に中国料理人の陳建民さんが四川の麻婆豆腐を日本風にアレンジして広まった。そんな日本の麻婆豆腐は2019年のいま、麻辣ブームに乗って本場の風を再び取り入れようとしている。

コンビニの麻婆豆腐にも「四川風」や「花椒(ほわじゃお)を効かせた」といううたい文句が並ぶが、果たしてどれほど本場風なのだろうか? 気になったのでローソン、ファミマ、セブン3社の麻婆豆腐丼をじっくり比較してみた!

2019年12月現在、コンビニ大手3社では、ほとんどのエリアで麻婆丼が取り扱われている。今回、ローソン『花椒香る!四川風麻婆丼(398円)』、ファミリーマート『醤が決め手!四川風麻婆豆腐丼(369円)』、セブン『花椒の香り広がる!麻婆丼(398円)』を購入。それぞれの麻辣度、中国度を確かめるべく、食べてみたところ……


・ローソン『花椒香る!四川風麻婆丼(398円)』

赤い! 3社のなかで最も赤く、とても辛そうな見た目だ。だが味はビジュアルと裏腹! 甘い。「エビチリかな?」というくらい優しいマイルドな味わい。以前販売されていた、毛穴から冷や汗が噴出するほど辛かったという『凍える辛さ!四川風麻婆丼』の反動なのだろうか。

別添えの花椒はS&B製。ふりかけると、ベースの麻婆豆腐が甘めな分、花椒の香りはとても引き立つ。


・セブン『花椒の香り広がる!麻婆丼(398円)』

一口食べた印象は「ああ! 豆板醤(とうばんじゃん)!!」だ。辛みは現地・四川省よりだいぶ抑えられているものの、豆板醤の存在感をひしひしと感じる風味だ。ちょっと辛くて、しょっぱくて、別添えの花椒をかけるとちょっとだけビリッ。

全体的に刺激は控えめだが、中国の食堂で食べる麻婆豆腐と完全に同じ方向を向いているように感じた。肉がゴロっとしているのも食べ応えがあってイイ! ちなみに花椒パウダーはGABAN製。


・ファミリーマート『醤が決め手!四川風麻婆豆腐丼(369円)』

2社が花椒推しなのに対し、ファミマは醤(ジャン)推し! 豆板醤と甜面醤(てんめんじゃん)を使って作られたことがポイントであるようだ。甜面醤が推されているだけあり、最初に感じるのは優しい甘さ。ここまでは日本風。だが、その後の豆板醤のパンチがキレッキレ!! 辛さが後を引く~ッ! 日本風と見せかけて四川が攻めてくるのだ!

別添えの花椒の量も多く、辛さ&シビレがとても強く感じられる。ちなみに花椒はS&B製。


・最も麻辣で中国っぽいのは……

各社ともに、目を閉じて食べてもわかるほど特徴のある味。それぞれの麻婆丼の麻辣度と中国度をまとめてみると……


ローソン:麻辣★☆☆☆☆ 、中国度★☆☆☆☆
ファミマ:麻辣★★★★☆ 、中国度★★★☆☆
セブン:麻辣★★★☆☆ 、中国度★★★★☆


最も麻辣なのは、ファミマだ!! 醤の味わいも麻辣のパンチも言うことなしに美味しい。コンビニの麻婆丼のハイレベルさに感動するくらいである。

そして最も中国っぽいのは、セブンイレブン! 麻辣度が高いならファミマも中国の味なんじゃないか、と思われるかもしれないが、ファミマの麻婆丼は作りが大変丁寧で、その点が「日本のコンビニ」という印象を押し出してくる。

一方、セブンは豆板醤が前面に出たシンプルさが中国下町の食堂を思わせてくれる。今回の食べ比べへの参加はかなわなかったが、私の知り合いの中国人も「麻婆豆腐はセブンが好き。1番中国っぽい」と話していた。

ローソンはベースとなる麻婆豆腐が2社と比べると甘口だ。花椒の香りを楽しみたいが、辛いのが苦手であればローソン一択だろう。

Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼麻婆丼ではないけれどセブンにはこういうのもあった! こちらはローソン以上に甘口だ