つい先日のこと。私、P.K.サンジュンは2歳の娘と上野動物園へ出かけた。その日は真夏日でとても暑く、油断すると熱射病にもなりかねない……そんな陽気。娘も暑かったのだろう、私に「かき氷が食べたい」とリクエストしてきた。

娘の要望にはとことん応えてやりたい私は、まあまあ長蛇の列を成していた売店で並ぶことに。ようやく支払いが終わり、かき氷の完成を待っているときに今回お話ししたい事案が起きた。果たして、こんなシチュエーションでは誰がどう応対するのが正解なのだろう? みなさんの意見を伺いたい。

・売店で

私を含め、支払いを終えて料理の完成を待っている人は5人ほどいたかと思う。“そのお父さん” は私の前の前で5歳くらいの娘さんと2人で並んでいた。ここまではごくありふれた、日常的なシチュエーションである。

ほどなくして、まずは父親が店員さんからソフトクリームを受け取った。娘さんも待ちきれなかったのか「ちょうだい! ちょうだい!」と大はしゃぎ。実に微笑ましい光景だ。


んが……。


お父さんからソフトクリームを受け取った女の子が、推定3秒でソフトクリームを地面に落としてしまったのだ。「うわ……」と私は思ったが、どうすることもできない。すると周囲がリアクションする間もなく、お父さんは落下したソフトクリームを店員さんに手渡し、


「すみません、作り直してもらっていいですか?」


……と聞いたのだ。

・親からリクエスト

店員さんは納得のいかない感じで「あ……はい」と答えたものの、ソフトクリームを作り直して再びお父さんに手渡した。お父さんは「気を付けるんだよ!」と娘さんに注意し、2人は雑踏の中に消えて行ったのだ。


……もやもや……もやもや……


……もやもや……もやもや……もやもや……


この気持ち、わかる?


店側から見れば、お父さんにソフトクリームを手渡した時点で売買は完了しているのだから、仮に「作り直してくれ」と言われても応じる義務はない。それは落としたのが大人とか子供とか関係なく、あくまで「そっちサイドの問題」なのである。

だが、一方で「子供がやったことだから理論」が発動しそうな事案であることも確かだろう。厳密に言えば直接的な罪は子供にあるが、子供は子供である。「自己責任だろ」と突き放すのは酷というか、人情味に欠ける気がしてしまう。

・子供がやったことだから理論

しばらく考えてみたのだが、少なくとも娘が同じことをしてしまった場合、私なら「作り直して下さい」とは口が裂けても言えない。その様子を見た娘が「作り直してもらっていいんだ」と覚えてしまうのはイヤだし、何より店に対し図々しいし、厚かましい。

逆に私が店員だったらどうだろう? それなりの権限があることを前提に、気付けば「作り直しますよ」と声をかけると思う。ただ、向こうから「作り直して下さい」と言ってきたとしたら、愉快な気持ちにはならないハズだ。むしろ心の中で「金払えやぁぁぁああ!」と思うに違いない。

・私なりの答え

私なりに導き出した答えはこうだ。ベターなのはなるべく店員さんが気付いて、先に「作り直しましょうか」と聞くこと。その際、親も「すみません、お金払いますので」と告げること。それを聞いた店員さんが「いえいえ、結構です。子供がしたことですから」となれば、それが1番美しい

何よりも親から「子供がやったことだから理論」を発動させるのは間違いではなかろうか。それは、かつて有吉弘行さんが言っていた「お客様は神様です、って客が言うなバカ」と同じで「子供がやったことだから、って親が言うなバカ」という方程式が成り立つハズだ。

ただ、いやらしい話、親から「お金払うので作り直してもらっていいですか?」はギリギリありだと思う。そう言われた店員がどうするかはわからないが、厚かましくない範囲でお願いできるのはここまでだ。無料で作り直してもらえたら、厚意に甘えつつ「本当にすみません、ありがとうございます」としっかり伝えればいいのではなかろうか。

ツラツラと書いてきたが、現段階でこの問題に100点満点の正解はない。本音と建て前、人情と社会通念が複雑に絡み合う「買った直後のソフトクリームを子供が落としてしまった場合どうすればいい問題」──。あなたはどう考えるだろうか?

執筆:P.K.サンジュン
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.