博多天神──そう聞いたら福岡県の中心地と連想する人がほとんどだろうが、実をいうと東京都ではそうじゃない。博多天神といえば、とんこつラーメンなのである。一杯500円で替え玉が1回無料。黄色い看板の……と言われたら「あぁ、あそこね」と分かる人も多いだろう。

ただ、値段が値段だし、都心で展開する店だと考えたら、味を期待しないのも自然な流れ。例に漏れず、福岡県出身の筆者も当初は「ハイハイ、どうせ大したことないんでしょ(笑)」と素通りしていた。しかしながら、一度食べるとなかなかどうしてウマいし、中毒性もある。それ以降、なぜこんなにもクセになるんだろうと自問自答しながら通っている。

・飲食店の三拍子

「博多天神」の素晴らしさは大きく分けて3つあると思っている。まずは飲食店に欠かせない三拍子「ウマい・早い・安い」が揃っていることだ。サッと食べてサッと出る。コレは回転率の早さが求められるラーメン店において鉄則なのだが、とにかくスピードは申し分ない。

んで具材はシンプル。卵、きくらげ、海苔、ネギ、チャーシューといった感じで普通で、ウマさに関してはぶっちゃけ脳が揺れるほどウマい訳ではない。だが、一言で表現するならそつがなく、500円のワンコインということを考えたら余裕で合格ラインを越えているのが「博多天神」なのだ。しかも、替え玉が無料。ウマいと安いもキッチリ兼ね備えている。

・カスタマイズし放題

そして2つめのストロングポイントはカスタマイズし放題ということだ。こだわりの強い店であればあるほど、客に何かと要求をする傾向にある。しかし、「博多天神」は一度ラーメンを出されたら放置プレイで好きにしていい。

卓上には紅生姜、激辛高菜、ニンニク、ゴマ……味を濃くする液体などまで置いてあって、すべては自分次第。そのまま食べるとミルキーなスープが無難にウマいが、好みに応じていくつもの組み合わせができてしまう。

ミルキースープをどのように活かすのか、アッサリから濃厚とんこつラーメンにするのもよし。ラーメン一杯で自分がコックになれる瞬間も楽しめるのが博多天神の魅力でもある。

・雰囲気がよろし

最後の1つはお店の雰囲気の良さで職人気質というか、気取っていないところがヒジョーにイイ。オシャレすぎると逆に入りにくい気持ちも出てくるものだが、博多天神はどうだろう。1人でも大丈夫だし、何なら女性1人で食べている光景もわりと見かける。

決してオシャレなラーメン店が悪い訳ではないが、老若男女が入りやすいのは飲食店において大きなポイントだというのは間違いない。好みは人それぞれとはいえ、こういったところから個人的には最強のラーメンだと思う。

かなり余談だが、「博多天神」の一番ウマい瞬間は夜。しかも、お酒を飲んだ後が最高だと確信している。メタボまっしぐらと思いつつも、ついやっちゃう魅力が「博多天神」にはある。とんこつの本場・福岡県ならまだしも、都内でラーメンが500円。いろんなものの値上がりが続いているが、同店は500円の据え置きを貫いて欲しい。

Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.

▼高菜はかなり辛いぞ