世界唯一の「迷惑メール評論家」を名乗っている私だが、最近めっきり迷惑メール系のネタを書いていない。人からもよく「羽鳥さん、もう戦っていないんですか?」と聞かれるが、実は水面下で戦っている。人知れず、地味〜に戦っている。

だが、どうにもこうにも戦いが「スイング」しないのだ。だから書いていない。人様にお見せできるエンターテイメントになっていないのだ。

スイングしない原因は、もちろん私にもあるかもしれないが、まちがいなく相手(迷惑メール業者)にもある。たとえば1年以上も前に泥仕合を繰り広げた「ミエコ」もそう。簡潔に説明したい。

ミエコと名乗る女性は、まずFacebookのメッセンジャーで連絡をとってきた。その後、「Facebookを退会するので、続きはLINEで……」という定番の流れに。ちなみにミエコは「小児科で看護師をしている29歳」で、都内在住、趣味は料理だった。

ちなみに、ミエコのアイコンにモザイクをかけているのには理由がある。実はミエコ、とあるフリーのモデルさん(もちろん女性)の写真を勝手に使っていたのである。そのモデルさんに迷惑がかからないよう記事ではモザイクを入れておくが……

実はミエコとのチャット開始から5分以内に、ミエコのプロフ画像のパクリ元と、モデルさんの名前まで特定完了していた。よって、ミエコが送ってくる「こんなブログ(という名の有料ポイントサイト)をやってるんで見てね的な画像」の元ネタも把握済みだった。

つまるところ、ミエコなんて、この世にはいない。ミエコが言っていることも全てウソ。そんなことは承知のうえで、のらりくらりと会話して、怪しいサイトへの誘導もヒラリと交わし、どんどん情報(相手の良いところ)を引き出そうとしていったのだが……どうにもこうにも盛り上がらない。試合がスイングしないのだ。

たしかにこの日は、私も調子が悪かった。リングにあがるコンディションは最悪だったといって過言ではない。そのため、少しばかり焦ってしまった。反撃に転じるタイミングを見誤った。かなり早めの段階で、怒涛の攻撃を仕掛けてしまったのである。

詳しくは割愛するが、「あなたは本当にミエコさんなんですか?」から始まって、ミエコが送ってきた数々の写真と全く同じ写真、すなわち本物の写真(モデルさんのインスタ投稿のキャプ)をバシバシと送りつけて反応を伺った。しかしミエコは、しらばっくれた。

さらに、しらばっくれるだけではなく、敗北を悟ったのか、「やっぱり冷やかしなんだね」などと言い始め、「楽しかったです。ありがとうございました。」と、勝手にチャットという名のリングから降りようとしたのである。ダメダメ、それは、ダメ。

なぜなら、このリングに誘ってきたのはミエコ本人。ぜんぜん試合も盛り上がっていないし、こんなんじゃお客さんも納得しない。なんとかオチをつけなければ成立しないのだ。よって私は、正体を明かし、ミエコにインタビューを申し出た。

ミエコがウソをついた証拠として、ミエコが誘導しようとしたブログの全てを保存したことや、ミエコが使っているデバイスやキャリアなどについても調べ終えている旨を伝えたうえで、あらためて「この仕事、儲かりますか?」と聞いてみたのだ。

しかし……!

そんな私のインタビューに対するミエコの返事こそが、私が迷惑メールの記事を書かなくなった理由のひとつになってしまった。たった6文字。私の戦意ならびに迷惑メールバトルへの情熱は、その6文字だけで一気に崩壊したのだ。続きは次のページへ。

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.