「パシリ」。使い走りを指す俗語だ。不良にパシリに使われる、なんてのは漫画でよく見かける定番シーンだが、社会人になるとパシられることなんてそうそうない。そもそも、いい大人がする行為ではないだろう。

しかし、中にはそういったことをする人間が存在するのも事実だ。残念ながら、私(あひるねこ)のすぐ身近にもいる。しかも質の悪いことに、その男は完全な非喫煙者である私に向かって、タバコを買ってこいなどと言ってくるのである。一体、彼の思考回路はどうなっているのか?

・当編集部の佐藤という男

身内の話で大変恐縮なのだが、当編集部には佐藤英典という記者がいる。編集部内の最年長であり、言ってみれば当サイトの顔のような男だ。私より一回り以上も年上で、敬うべき大先輩であることは否定しない。だがしかし、この男は稀にろくでもないことを言いつけてくるのである。

・不穏な影

ある日のこと。私が自席で仕事をしていると、「おーい」という声が聞こえた。まるでこの世の不吉のすべてを詰め込んだかのような声だ。何かと思い横を見ると、佐藤が明らかに私を呼んでいる。私の方を見ている。次の瞬間、これは何か良からぬことが起きるなと察した。

佐藤の方に向かうと、この男はこんなことを言い出したのである。

佐藤「悪いんだけどさぁ、アイコスのスムースレギュラー買ってきてくれないか?」

え? アイコスの? スム……? なんすか?

佐藤「スムースレギュラーだよ。アイコスのスムースレギュラー。」

スムース……レギュラー? (なんやそれ……)

佐藤「だからぁ、スムースレギュラーだって言ってんだろうが! アイコスの! スムースレギュラーだよ!! お前の耳は飾りかコラぁぁぁぁああああ」

えええ……。あろうことか、突如としてブチ切れ始める佐藤。何が彼をそうさせるのか? この男の40数年間の人生に思いを馳せる。そして、スムースレギュラーって結局何なんだよ……。

・非喫煙者に頼むべきなのか

ここで、佐藤の行動をもう少し分析してみたい。まず、タバコを人に買ってこさせようとするパシリ行為についてだが、これはもはや「佐藤だから」でケリがつく気がするので置いておこう。キリがないからだ。ヤバイと思うのは、タバコを吸わない私にそれを頼むという精神構造である。

当編集部は喫煙率が非常に高い。その中で、まったく吸わない私の存在は異端だ。これはもちろん編集部全員が共有している事実であり、佐藤も私が非喫煙者であることは重々承知している。にもかかわらず、スムースレギュラーなるものを買ってこさせようというその発想。甚だ意味不明であると言わざるを得ない。

・まるでわからない

非喫煙者にとって、タバコの世界はどこまでも未知だ。よくコンビニのレジで、銘柄を叫ぶおっさんと戸惑う女性店員を見かけるが、まさにアレ。銘柄を言われたところで、どうやって買えばいいのかわからない。番号で言ってくれなんて言われた日には、「やっぱりいいです……」と退散する以外ないのである。

やはり自分で吸うタバコは、自分で買いに行くべきではないだろうか。それでも非喫煙者を捕まえてタバコを買ってこさせようとする「ニコチン野郎」には、この言葉を贈ろう。そんなに吸いたきゃ自分の指でも吸ってろ。以上である。ちなみに、佐藤はこの件について事実とまるで異なると供述している。

執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

▼これがアイコスのスムースレギュラーだ