2016年9月に実写映画の公開が発表された、人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。ついに2017年8月4日、つまり今日、「ダイヤモンドは砕けない 第一章」の劇場公開がスタートした。

実写映画化が発表されてから、どうなるのかと注目を浴びていたこの作品。私(佐藤)も気になって仕方がなかったので、公開初日の最初の放映時間のチケットを予約して、実際に観に行ってきたぞ! 率直な感想を一言でいうと、「意外とよかった」だ。

・一番心配していたこと

本作は、おなじく漫画原作の『テラフォーマーズ』を手掛けた三池崇史氏が監督を務めている。テラフォーマーズでは、本編でイチイチナレーションが入り、特殊能力についての説明が繰り返されていた。

まさかジョジョでも同じようにスタンド能力の説明が入るのでは? と危惧していたのだが、本作で説明のナレーションは一切なかった。これだけで私は一安心した。

・カット割りに忠実

おそらく原作ファンの多くは、作品世界が実写化によって壊されることを心配しているはず。作品を観た限り、作品世界は壊されていないので、原作ファンは安心して欲しい。

テラフォーマーズでも思ったことだが、三池監督は漫画のカット割りに忠実にシーンを再現している。カット割りが良く出来ていて、思わずニヤけてしまうシーンもチラホラあった。重要なシーンのセリフも、ほぼそのままになっている。それらを踏まえて良かった点と気になった点を以下にまとめた。

■良かった点

・スタンド戦のスピード感
スタンドとスタンドが対戦するシーンはなかなか見応えがあった。特に、主人公・東方仗助の「クレイジーダイヤモンド」と、虹村形兆の「バッドカンパニー」が対決する場面は非常によく出来ている。スタンドの描写だけでなく、スピード感が素晴らしい。原作の迫力を見事に映像化している。

・スタンド能力の描写
原作のキモは何よりもスタンド能力である。CGを巧みに駆使して、それを見事に再現している印象だ。ところによっては気になる場面もあったが、総じてキレイに表現出来ていたと言えるだろう。仗助が直した承太郎の帽子は、笑ってしまうほど良く出来ていたと思う。

・山崎賢人さんがハマっていた
山崎さん演じる、東方仗助はハマり役だったと思う。髪型を批判されて怒るシーンは、ちょっとだけ怒り方が足りない気もしたが、ストーリーが進むにつれて、役が良く馴染んでいるように見えた。

■気になった点

・原作を知らない人にはサッパリわからないかも
そもそもスタンド能力に関して、詳しい説明がない。冒頭のシーンで、山田孝之さん演じる片桐安十郎がスタンド能力を身につけるシーンは、原作を知っていなければ理屈がわからないはず。

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スタンドや弓矢の予備知識がないと、「何が起きたの?」と思う場面が多々あった。空条承太郎(演:伊勢谷友介)の「スタープラチナ」が時を止める場面も、状況がわからないような……。

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・撮影地はスペインでよかったのか?
本作の撮影はスペインで行われたそうだ。映像をパッと見ただけで、景色は日本ではないとわかる。そこに、主要人物をはじめとする多くの日本人がキャストとして出演している。そのギャップが気になった。たとえば、背景の貼り紙や看板などは全部日本語。景色はスペイン。何だか違和感を覚えた。

・「立入禁止」の看板
虹村兄弟が住む洋館の入り口にある「立入禁止」の看板が、デカすぎてわざとらしい

・最後の最後
仗助と対戦した虹村形兆は、最後の場面で何者かに攻撃を受けてしまう。映画の第二章に続く重要な場面なのだが、そこでどうしても笑ってしまうシーンになる。もう少し何とかならなかったのか? はっきり言って、画的にマヌケだった。

・原作知らない人は予習が必要かも?

原作を知る人には、ぜひスタンド戦を見て欲しい。スタープラチナの「オラオラオラ」も、クレージーダイヤモンドの「ドラドラドラ」も疾走感があふれている。これは見ていて爽快である。

ただ、原作を知らない人は、予習が必要かも。そもそもスタンドとは何ぞや? というところを押さえておかないと、置き去りにされる可能性があるので、可能なら原作3部と4部を読んで予備知識を身につけておいた方が良いかもしれない。

なお、個人的には、これに続く第二章以降で、噴上裕也(ふんがみゆうや)や しげちーこと矢安宮重清(やんぐうしげきよ)、鋼田一豊大(かねだいち とよひろ)などが出てくることに期待したい。第一章では「レストラン トラサルディー」の名前は出てきたので、もしかしたらトニオさんも出てくるのかも?

参考リンク:映画 『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』
Report:佐藤英典
Photo:(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社