この瞬間を永遠に残したい……そんな気持ちから人は様々な状況で「自撮り」写真を撮ろうとする。けれどもカメラばかり気にするあまり、周囲が目に入らず悲惨な事故も起こりがち。

今回も自撮りに夢中になった女性が、2000万円相当の美術品を破壊してしまったそうだ。ニ、ニセンマン……動画とともにお伝えしたい。

・ロサンゼルスで行われた展覧会でのこと

事故が起こったのは、米ロサンゼルスで行われたアーティストのサイモン・バーチさんの展覧会。アート団体『The 14th Factory』のギャラリーには、破壊されたフェラーリや、300人の男性が戦う映像など、様々な作品が展示されていたという。

そして自撮りによる事故が起こったのは、王冠の彫像作品が、1つ1つ独立した台座に載せられていた部屋でのこと。訪れた人々は、繊細な王冠を間近で観賞したり、スタッフの説明を聞いたり、動画『Selfie Domino』に登場する女性のように写真を撮影したりと思い思いに楽しんでいた。

・自撮りをしようとしゃがんだら……

だが、この女性の自撮りがいけなかった。動画では、画面右上で2人の女性が写真撮影を行っているのが見える。

1人の女性が王冠が載った台座の前にしゃがみ、写真撮影を行おうとしたその瞬間……! 彼女の体が後ろによろけ、台座にぶつかってしまったのだ。すると台座が後ろに倒れ、一列に配置されていた他の台座が次々と倒れていくではないか!! まさにドミノ倒し。

これには他の入場者もびっくり。倒した女性本人は必死に台座を立て直そうとしている。

・被害総額は2000万円

『The New York Times』によると、被害総額は20万ドル(約2000万円)にものぼるとバーチさんは発表しているとのこと。ほとんどの作品は無事に修復出来たそうだが、中には深刻なダメージを受けたものもあったようだ。

弁償費2000万円。なんだか恐ろしくなってしまうが、バーチさんは過失をとがめるつもりはない とFacebook上で述べている。「明らかに事故であり、女性はまだ学生。また私たちは小規模な非営利のアート団体なので、そもそも訴える費用がない」というのがその理由だ。

・被害に遭ったアーティスト「予想外のことは起こるもの」

また「台座が固定されていたらこんな事故は起こらなかったのでは?」「注意書きはしないの?」といった疑問の声も聞かれているよう。

これに対してバーチさんは「私は人々を信用している。王冠は壊れやすいもので、権力の象徴。そんな王冠が落とされるのは、皮肉で意味深なことだ」、「いくら手厚い安全策を講じたとしても、想定外のことは起こってしまうもの」などとも説明しているのだった。

「もしも自分がやっちまっていたら……」と見ているだけでヒヤリとしてしまう今回の事故動画。自撮りするときは、くれぐれも周囲のことにも気を配ろう! 死亡事故だって起こりかねないのだから。

参照元:The New York TimesFacebook(英語)、YouTube
執筆:小千谷サチ