普段は地味だが、そばトッピングにおいてはエース的存在感を発揮する春菊天。春菊天を制する者はそばを制する……と言うのは過言だが、そばには欠かせない存在である。

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。地味に連載82回目って知ってた? すっかり長期連載化しているこの企画だが、これまで回った歴戦のそば屋の中でも、指折りの春菊天を味わえたのが今回ご紹介する『江戸切りそば やしま』である。

・肩を寄せ合うサラリーマン

西葛西の駅から徒歩1分ほどの高架下に位置するこの店。私(中澤)が訪れた際は、昼時を少し過ぎていたが、店内は寿司詰めの満員状態だった。さっそく、その流れに乗って券売機で食券を購入、INTO THEやしーま

・山脈のような春菊天

購入した食券は、「春菊天玉そば(税込460円)」だ。カウンターで渡すと、待つことなく登場するそば。丼から山脈のように隆起する春菊天は真夏の木々を彷彿とさせる深緑、さながらキラめく黄身は太陽か。風鈴の音が聞こえてきそうである

・実食

あまりのそばのオーラに思わず日本の田舎を思い浮かべた私だが、このままオーラを満喫しすぎると伸びてしまうのもまた事実。その証拠に、他の客は速攻で食べて出ていく。というわけで、私もそばを食べてみた。

コシのある細麺が、甘めのつゆとマッチしてのどをスルスルと通っていく。温かいそばでも爽やかさは抜群だ。次から次へとガツガツいきたくなるのど越しの良さである。さらに、大ボリュームの春菊天をかじってみると……

ウマイ! 衣の中は春菊がビッシリ茂ってる!! そんな春菊の苦みと衣に染みたつゆの甘みが描く鮮やかなコントラスト。それはまるで陽炎立ち上る夏に打ち水の中にかかる虹のようだ。揺れる深緑、どこからともなく聞こえる……ひぐらしの声! 記憶の中の遠い夏を思い出し少し泣いた

・どこかで失くした遠い夏

建ち並ぶビルの群れ、人との摩擦に疲れ、いつの間にか失くしてしまったあの日の太陽。だが、それは勘違いだったのかもしれない。気づかなかっただけで、いつだって太陽は心の中に輝いていたのだ。心に染み入る日本の夏。西葛西『江戸切りそば やしま』はいつだって君を待っている!

・今回紹介した店舗の情報

店名 江戸切りそば やしま
住所 東京都江戸川区西葛西6-14-31
営業時間 平日7:00~21:00 / 土・祝日7:00~20:00 / 日曜日 7:00~17:00
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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▼記憶の中の遠い夏のような春菊天そば

▼溶けていく黄身があの日の夕日みたいで少し泣いた