先日、私はアクセルとブレーキを踏み間違えました。一般道で十字路を右折するときのことです。ブレーキを踏んだはずの車が、ブルンブルンとエンジン音を響かせて進んで行ったのです。

フロントガラス越しに見えていた信号機が、キノコをゲットしたマリオのようにグングングンと一気に大きくなっていった時、「あ、違う方のペダルを踏んだんや」と気づきました。そして、「死ぬな」と思いました。だけど、死にませんでした。幸いなことに、事故も起きませんでした。なぜなら……

助手席に座っていた教官が、ブレーキペダルを踏んでくれたからです。その後、教官は優しくこう教えてくれました。「足をアクセルに置いたり、ブレーキに置いたりを不必要に繰り返していると、本当に危ないときにこういうことが起こりがちなんです。足をどっちに置いてるか、自分で分からなくなりますからね」と。

なるほど。確かに、私の右足はアクセルとブレーキの間を何度も何度も往復していました。プレステの○ボタンを押して×ボタンを押すくらいのライトな感覚で、足がアクセルとブレーキ間を行き来していました。ペーパードライバーの私は、極度にビビっていたからです。

事前に、教官から「それは危ないですよ」と注意されていたにもかかわらず、恐怖心から“右足の小まめな移動” をずっと続けていました。その結果、先述の体験をする羽目になったのです。

ちなみに、“教官” というのは、自動車教習所の教官ではありません。ペーパードライバー向け講習の教官です。「そんな講習があるのか!?」と思った人も多いかと思います。あるんです。私も最近知ったのですが、検索すると、いくつかの会社が運営している講習を見つけることが出来るでしょう。

・ペーパードライバー向け講習とは?

「では、ペーパードライバー向け講習ってどうなの?」と聞かれると……一概には言えませんが、あくまでも私が体験した範囲で言うと、流れは以下のような感じです。

HPを見て電話で予約 → 当日に自宅前まで教官が車で来てくれる → 車内で「講習で重点的に学びたいこと」や「気になっていること」を聞かれる → ついでに発進の手順など、昔に教習所で習ったことを丁寧に教えてくれる → そのまま一般道で講習スタート → 一般道を走りながら指導を受ける → 時間が来たら終了

──ポイントは、自宅へ来てくれたこと、いきなり一般道でのレクチャーだったこと、時間も講習内容も自分で決められること、そして一般車ではなく、助手席にブレーキペダルが付いている講習車を使ったものだったことでしょうか。

・全体的にお高い

ただ、これらは運営会社や選択するコースによって変わってくるようなので、全ての「ペーパードライバー向け講習」が上の通りではありません。その中で共通していることを1つ挙げるとするならば……どこも大体、金額が高いことでしょうか。私の場合は、4時間の講習で3万5000円でした。つまり、1時間9000円弱。

「高っ!」という声が聞こえて来そうですが、私の通ったペーパードライバー向け講習「ドライバーエレメンタリスクール」が特別に高いというわけではありません。過去の記事によれば、都内では1時間1万円前後~1万5000円が相場のようです。つまり、ペーパードライバー向け講習が全般的にクッソ高いのです。

この金額がネックになって、「運転技術は不安だけど、受けるのはやめとこ」となるペーパードライバーは多いのではないでしょうか。逆に考えれば、このクッソ高い相場がもっと安くなれば、ペーパードライバーによる事故、もっといえばアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故の発生率を抑えられるような気も。

死にかけた分際で、「相場がクッソ高い」なんて言うのは何ですが……。

参考リンク:ドライバーエレメンタリスクール
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼教習車が自宅前まで来てくれる

▼出発直前。不安しかない

▼教官の足元にあるブレーキ。これが無い車だったらマジでヤバかった……