Jリーグを語る上で “キングカズ” こと三浦知良の存在は絶対に欠かせない。ジャニーズを語る上でSMAPが、牛丼を語る上で吉野家が欠かせないように、少年漫画を語る上で絶対に欠かせない存在が『北斗の拳』である。

男ならば誰しも『北斗の拳』を読んでいてあたり前……だとつい最近まで思っていたが、なんと『北斗の拳』を読んだことがない男性がチラホラいるらしい。さらにいえば、そのくせ漫画好きを公言しているから驚きだ。君は一体……何のつもりなんだ?

・基本中の基本

まずは、「なぜ北斗の拳なのか?」について解説しておきたい。1983年から1988年にかけて、少年ジャンプで連載されていた北斗の拳。現在39歳の私(P.K.サンジュン)ですらリアルタイムではなく、連載終了後にコミックで読んだほど、まあまあ古いタイトルである。

だがしかし、北斗の拳は「男ならば必ず通る道」として、実際に多くの男性が読破したに違いない。ドラゴンボールやスラムダンクも漫画史に欠かせない名作だが、「男の生き様」についてこれだけ基本を押さえた漫画は他にないだろう。

また、シンプルな構成も非常に良かった。「ジョジョの奇妙な冒険」や「HUNTER×HUNTER」も面白いが、北斗の拳と比べると複雑すぎる。北斗の拳は、基本的にケンシロウが敵と戦っていくだけのストーリーのため、少年たちには理解しやすい作品だったのだ。

・愛と悲しみを覚える

さて、少年たちは実際に『北斗の拳』から何を学ぶのか? ズバリ「愛と悲しみ」についてである。北斗の拳は単なるアクション漫画でも格闘漫画でもない。一言で言い表すのならば「愛と悲しみの漫画」としか言えないことは、読者ならばお分かりのことと思う。

ケンシロウが戦うだけのシンプルな漫画なのに、読み進めていくにつれ少年たちは「愛と悲しみ」を覚えていく……こんな漫画が他にあるだろうか? また、北斗の拳では一度死んだ人間は絶対に生き返らないし、主要キャラも次々と死んでいく。そんなリアルさや残酷さも、少年たちは漫画を通じて覚えていったのだ。

・漫画好きとは認められない

そんな素晴らしき北斗の拳を、当編集部のGO羽鳥・Yoshio・あひるねこは読んだことがないという……正気ですか? GO羽鳥やYoshioはまだ許そう。なぜなら彼ら2人はスラムダンクですら読み切っていないほど、漫画に不向きの体質だからだ(なお、Yoshioが読み切った漫画は “ダイの大冒険” らしい)。

だがしかし、あひるねこは漫画大好きっ子で、何なら3年ほど漫画喫茶に勤めていた経歴を持つ男だ。本人は「世代が違うからですよォ」とヘラヘラしているが、マジで解せない。彼は「キングダムはヤバいですね~」「ワンピースは全部読んでますよ」などと漫画を薦めてくるが「話は北斗の拳を読んでからだ」とこの場を借りて強く言っておく。

まさか、北斗の拳を読んだことが無い人間が、こんな近くにいるとは思わなかったが、万が一「俺も読んだこと無い……」という人はぜひこの機会に読んでみよう。大人になってからでも十分に面白いし、きっと「愛と悲しみ」について感じることがあるハズだ。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.