新年度を迎えた2017年4月。この春、新しい部下を持った人も多いのではないだろうか。ただ、立場が変われば環境も変わるもの。上に立つ人もラクではなく、新社会人との人間関係に頭を悩ませることもあるに違いない。

どうすれば部下と良好な関係を築けるのか。毎年のように繰り返される永遠のテーマだが、そのアドバイスは成功した経験のある上司に聞くべきであろう。ということで、横浜DeNAベイスターズ前監督・中畑清さんに「上司としての心構え」を聞いてみた!

・チバテレビの番組収録合間にインタビュー

チバテレビで毎週土曜22:15~22:30に放送中の『燃える男 中畑清の1・2・3絶好調』収録の合間を縫って、インタビューに応じてくれた中畑さん。Bクラスが指定席だったチームを生まれ変わらせた監督時代、彼はどのようにしてベイスターズの選手たちと接していたのだろうか。以下、インタビュー内容である。

・部下との接し方

──この春、社会では新しく部下を持つ人も多いかと思います。中畑さんはベイスターズの監督を4年務められましたが、どのようにして入団してくる選手たちとコミュニケーションをとっていたのでしょうか?

中畑「俺の場合はあんまり部下っていう感覚はなかったかな。どちらかといえば『仲間』や『家族』って意識だな。でも相手を先に知る努力はしたよ。だって、球団の監督をやってると、選手との年齢も違うじゃん。選手たちが心からの言葉を俺に言ってくれるように気遣いはしたよ」

──プロの世界に入ってくる選手には10代もいますし、一般社会よりも年齢差のあるケースが多いと思うので大変そうですね。では世代が違う中、どういったアプローチをしていましたか?

中畑「ギャグの連発だよ(笑)。必ず笑いを作るっていう工夫はしたな、距離感を縮めるっていう点ではね。どういう話題を提供して笑いをとれるか。そんなことばかり考えてたかな(笑)。でもそれは延長線上なんだよな。

俺はもとから笑いがある世界が大好きで、そういった空気を作るのが自分の役割でオリジナルだと思ってた。とにかく明るく、喜怒哀楽を理解できるチームにしたかった。結果的に笑いをうまく使い分けることができたのかな。そういう努力がうまくハマったチームだった」

──中畑さんらしい! 笑いで距離感を縮め、自ら選手(部下)のことを知ろうと積極的に行動していた訳ですね。ただ、時には衝突といいますか、選手を怒ることもあるかと思います。そんな時は、どのようなフォローをしていましたか?

中畑「怒るというか、ダメ出しは始め(チームがスタートした時)から選手に伝えていたね。できることをやらないこと、怠慢プレーや首脳陣批判……若手だろうとベテランだろうとチームの輪を乱すことは絶対に許さないって。

チームの崩壊につながることを見逃さなければ、チームはまとまっていく。大事なのはブレない芯があること。そこだけは守るよう言って、選手たちに理解力を持たせるようにしたね。でもその代わり、何かチームに問題が起きた時は俺もキチッと対処した。そうすれば選手も認めてくれるんだよ」

・部下を評価するポイント

──確かに。上司が自分を知った上で信じてくれたら、部下はやりがいを感じますね。それでは選手(部下)を評価する場合、一番重要なポイントはどこでしたか? プロ野球であれば、実力はもちろん、プロ意識……さまざまな評価ができますが、その点はいかがでしょう。

中畑「チームのためにいかに犠牲を払うことができるかだね。For The Team(フォア・ザ・チーム)。俺はそういった瞬間を見たときに評価した」

──表よりも裏を重視すると?

中畑「そうそう、いいカッコはみんなできるじゃん。表に出るものは誰だって評価するから、それはできて当たり前。大事なのは、普段見えないところでどれだけ行動できるかなんだよね。裏方に回ったときの気持ちを持ちながらチームに貢献できる選手は、人からも尊敬されるようになるからね」

・筒香選手はどうだったのか

中畑さんといえば、ベイスターズの主砲に成長した筒香嘉智選手との師弟関係が有名だ。まさに上司と部下。中畑さんはチームの主軸に据え、キャプテンにも抜擢した教え子をどのように見ているのだろうか。気になる詳細は次ページ(その2)へ!

参考リンク:チバテレビ『燃える男 中畑清の1・2・3絶好調』
Report:原田たかしGO羽鳥
Photo:RocketNews24.